月曜日, 12月 05, 2016

エマニュエル・トッド他著「グローバリズムが世界を滅ぼす」、仏で著名な歴史、経済、人類学と幅広い知識を持つE・トッド氏を迎えてのシンポジウムをまとめたのが本書だ。2008年のリーマンショック以降グローバリゼイションの危機が先進国特有なものだと。グローバリズムが自由貿易を生み近隣諸国との競争を必須として経済格差が拡大する。すると経済循環が緩慢になりひずみが生じ企業が賃金抑制に向かい改めて格差拡大を促すという悪循環が派生する。この不況、デフレの時代に何をどのようにすれば良いのか。過去の歴史的事実により、公共投資を増やし社会保護を徹底し市場を統制するということである。しかし現実には緊縮財政、規制緩和、資本移動の自由化つまりグローバリゼイションの推進といった状況である。トッド氏は、グローバリゼイションの危機そのものが、民主主義の危機でもあると。



木曜日, 12月 01, 2016

門田泰明著「汝香るが如し」西條家令嬢美雪とその一行が、四代将軍家綱のご名代として大和の国現在の奈良県に旅するシリーズ編である。美雪の亡き母雪代の生家曽我家への旅である。逗留した曽我家で起こる数々の災難にも打ち勝ち晴れて江戸で天才浮世絵師と呼ばれる宗次と帰途に着くというスリルとサスペンスを存分にまた大和の国の歴史を丹念に盛り込んだ傑作である。


門田泰明著「命賭け候」浮世絵宗次日月抄シリーズだ。くノ一の子供梅を巡り、暗闘が起こるそこで宗次の出生の秘密が暴露された。徳川宗徳、将軍家の血筋を引き祖母に春日局を持つ由緒ある出自であった。活劇あり人情あり江戸は下町町民の暮らしぶりや人々の生活を通してスリルとサスペンスを満喫できるシリーズである。


門田泰明著「任せなせえ」江戸で起こる連続辻切殺人事件、浮世絵師の宗次に関連する人物も殺害される。俄かに浮上した京都公家800石宮小路家、徳川幕府となり京都公家は様々な仕打ちにより石高を減ぜられたりおとり潰しとなる現状に反旗を翻し殺人集団と化した宮小路家が江戸に。密かに調査する過程で京に上る宗次は、果たして宮小路殺人集団と対決する羽目に陥った。


門田泰明著「半斬の蝶」上下巻平安の昔、徳川時代か数百年の昔、応仁の乱の日野富子と今参りの局との遺恨が江戸の徳川幕府に影を落とし、浮世絵師宗次の身に次々と襲い掛かる痛快時代劇だ。軽妙な文体とともに読者を飽きさせない面白さは格別だ。


門田泰明著「冗談じゃねえや」4編を含む短編集だ。浮世絵師宗次の活躍が軽快に踊る。徳川家の血筋をまた豊臣家の母方の血筋をも隠し江戸の貧乏長屋に暮らす宗次こと徳川宗徳は、陽心流剣法の奥義を極めた剣聖としてもひた隠し長屋住民との交流から数々の旗本、大名、大店と絵仕事を熟している。宗次の周辺で起こる様々な事件を人情と類まれな剣術で解決する痛快時代小説である。


門田泰明著「夢剣 霞ざくら」浮世絵宗次日月抄シリーズだ。天才絵師宗次が活躍する痛快時代小説である。絵師であるとおもに剣豪でもあり徳川宗徳の名を伏せた宗次は、旗本六千石西條家の出戻り令嬢と巡り合う。江戸の人情豊かな町民との付き合いから、刺客との決闘シーンやら気軽に読める時代小説である。



黒川博行著「文福茶釜」大阪を中心とした古美術品を巡り暗躍する美術品蒐集家、道具屋と美術図書出版社と多彩な顔触れを背景に贋作を巡り奮闘する稀な書だ。著者の軽快な文体と合わせてその世界の裏側を剥ぎ取り提示する。



門田泰明著「皇帝の剣」下巻、江戸の長屋に住む剣法の達人であり浮世絵師宗次の今日の都へ帝の拝謁の為に参内する物語だ。京都を舞台に刀剣、旅籠、茶そして公家、大名など江戸時代の京都の風情と物語を絡ませ痛快活劇で楽しく時間を潰すことのできる時代小説である。



門田泰明著「秘剣 双ツ竜」浮世絵師宗次日月抄シリーズ、徳川四代将軍家綱を父とした扇姫に襲い掛かる様々な苦難を浮世絵師宗次が奮闘する物語だ。大老酒井清忠らの陰謀の元、青装束の忍びの手練れとの切りあいに始まり、甲斐は武田家の血筋を引くくノ一集団やらと、凄まじい程練りに練ったプロットは圧巻だる。