木曜日, 7月 28, 2016

夏目漱石著「こころ」、書生の主人公である私が、先生との関係の中で苦悩しながら生きる。先生の長文の遺書を下に先生の「こころ」の動き震えを、はたまた友人Kを裏切り自殺に追い込んだこころの傷跡を舐めながら生きる先生の人生は儚くまた清い懊悩の中にあったのか。


日曜日, 7月 24, 2016

メルヴィル著「白鯨」下巻、鯨や捕鯨船の詳細な考察は素晴らしく、エイハブ船長を始め乗組員それぞれの記述も面白い。船長の抹香鯨(モービー・ディック)に対する執拗な追走は、彼の人生そのものだ。目標に向かって40数年捕鯨、抹香鯨を追う生活そのものがエイハブ船長のまさに人生だ。そしてその捕鯨中海中へと歿し生命を絶たれる。


日曜日, 7月 17, 2016

浅田次郎著「壬生義史伝」上巻、幕末を新選組の中にあって生きながらえた者による回想録とでもいった物語だ。新選組の各面々の思想、信条や行動が面白く書かれている。


水曜日, 7月 13, 2016

メルヴィル著「白鯨」上巻、捕鯨船が港を出て航海を続けエイハブ船長と船員30名ほどのドラマが船上にて始まる。怒りの主人公エイハブが目指す白鯨(モービーディック)は、悪鬼かそれとも集熱地獄か執拗に白鯨を追い続け航海をする前編だ。


木曜日, 7月 07, 2016

夏目漱石著「坊ちゃん」、「吾輩は猫である」のすぐ後に読んだ短編坊ちゃんは、著者が一週間足らずで完成したという。松山中学に赴任した坊ちゃん、その取り巻きの人物設定はこの時期を彷彿とさせる設定のように思える。一心直情な坊ちゃんをとおして当時の世の中を見る作者の眼に感銘だ。


水曜日, 7月 06, 2016

ディケンズ著「デイヴィッド・コパフィールド」第四巻、愛しのドーラとの結婚も果たし幸せな生活を営んでいるコパフィールドの身にすぎ次と襲い掛かる不運、妻ドーラの死友人ステアフォースの死そしてハムの死とこの上なく不幸の連鎖の中で翻弄されてゆくコパフィールド、人生とはかくも惨い試練を神は与えるものだと。しかし一方でヒープを追放しアグニス一家を救い、他方では物書きとして徐々に名声を博してきたコパフィールド、遂にアグニスとの結婚を成就させ平穏で幸福な時をもてるようになった。人生の感慨と作者の心理描写の巧みさに拍手。



日曜日, 7月 03, 2016

夏目漱石著「吾輩は猫である」、苦沙弥先生中学の先生の家に居ついた猫をとおして、世間を先生の友人たちの言動について評する。作者の類まれな機智と洒落が随所に描写され思わずうなってしまう。漱石40歳の処女作だという。


E・ブロンテ著「嵐が丘」下巻、著者の生涯を読んで、英国の寒村で黙々と著作を綴った彼女の生涯と重なると思う。荒涼たる自然環境の中で生を生きる人間の心理とエネルギーをヒースクリフの人生をとおして描き上げた小説である。荒涼たる自然、生と死、魂、神、愛これらが混然一体となった物語である。ヒースクリフの死は果たして安楽な生を生むのだろうか?


土曜日, 7月 02, 2016

J・オースティン著「高慢と偏見」、プロットは単純だが、そのベネット家の女性たち就中主人公エリザベスが交わる人間との交錯と心理描写は微細な振動を与え読者を満足させてくれる。

金曜日, 7月 01, 2016

ディケンズ著「デイヴィッド・コパフィールド」第三巻、コパフィールドに次々と降りかかる新たな試練、法律事務所の書記として勤めた上司スペンロウその娘ドーラに激しい恋心を抱くそして二人で婚約までするのだが。長年に渡り彼を面倒みてくれた伯母の破産や法律事務所の解散等々。彼の人生に降りかかる幾多の困難そんな中でも自分を見失うことなく将来を夢見て努力するその根拠はやはり愛する人に恵まれたということではなかろうか?。