月曜日, 12月 05, 2016

エマニュエル・トッド他著「グローバリズムが世界を滅ぼす」、仏で著名な歴史、経済、人類学と幅広い知識を持つE・トッド氏を迎えてのシンポジウムをまとめたのが本書だ。2008年のリーマンショック以降グローバリゼイションの危機が先進国特有なものだと。グローバリズムが自由貿易を生み近隣諸国との競争を必須として経済格差が拡大する。すると経済循環が緩慢になりひずみが生じ企業が賃金抑制に向かい改めて格差拡大を促すという悪循環が派生する。この不況、デフレの時代に何をどのようにすれば良いのか。過去の歴史的事実により、公共投資を増やし社会保護を徹底し市場を統制するということである。しかし現実には緊縮財政、規制緩和、資本移動の自由化つまりグローバリゼイションの推進といった状況である。トッド氏は、グローバリゼイションの危機そのものが、民主主義の危機でもあると。



木曜日, 12月 01, 2016

門田泰明著「汝香るが如し」西條家令嬢美雪とその一行が、四代将軍家綱のご名代として大和の国現在の奈良県に旅するシリーズ編である。美雪の亡き母雪代の生家曽我家への旅である。逗留した曽我家で起こる数々の災難にも打ち勝ち晴れて江戸で天才浮世絵師と呼ばれる宗次と帰途に着くというスリルとサスペンスを存分にまた大和の国の歴史を丹念に盛り込んだ傑作である。


門田泰明著「命賭け候」浮世絵宗次日月抄シリーズだ。くノ一の子供梅を巡り、暗闘が起こるそこで宗次の出生の秘密が暴露された。徳川宗徳、将軍家の血筋を引き祖母に春日局を持つ由緒ある出自であった。活劇あり人情あり江戸は下町町民の暮らしぶりや人々の生活を通してスリルとサスペンスを満喫できるシリーズである。


門田泰明著「任せなせえ」江戸で起こる連続辻切殺人事件、浮世絵師の宗次に関連する人物も殺害される。俄かに浮上した京都公家800石宮小路家、徳川幕府となり京都公家は様々な仕打ちにより石高を減ぜられたりおとり潰しとなる現状に反旗を翻し殺人集団と化した宮小路家が江戸に。密かに調査する過程で京に上る宗次は、果たして宮小路殺人集団と対決する羽目に陥った。


門田泰明著「半斬の蝶」上下巻平安の昔、徳川時代か数百年の昔、応仁の乱の日野富子と今参りの局との遺恨が江戸の徳川幕府に影を落とし、浮世絵師宗次の身に次々と襲い掛かる痛快時代劇だ。軽妙な文体とともに読者を飽きさせない面白さは格別だ。


門田泰明著「冗談じゃねえや」4編を含む短編集だ。浮世絵師宗次の活躍が軽快に踊る。徳川家の血筋をまた豊臣家の母方の血筋をも隠し江戸の貧乏長屋に暮らす宗次こと徳川宗徳は、陽心流剣法の奥義を極めた剣聖としてもひた隠し長屋住民との交流から数々の旗本、大名、大店と絵仕事を熟している。宗次の周辺で起こる様々な事件を人情と類まれな剣術で解決する痛快時代小説である。


門田泰明著「夢剣 霞ざくら」浮世絵宗次日月抄シリーズだ。天才絵師宗次が活躍する痛快時代小説である。絵師であるとおもに剣豪でもあり徳川宗徳の名を伏せた宗次は、旗本六千石西條家の出戻り令嬢と巡り合う。江戸の人情豊かな町民との付き合いから、刺客との決闘シーンやら気軽に読める時代小説である。



黒川博行著「文福茶釜」大阪を中心とした古美術品を巡り暗躍する美術品蒐集家、道具屋と美術図書出版社と多彩な顔触れを背景に贋作を巡り奮闘する稀な書だ。著者の軽快な文体と合わせてその世界の裏側を剥ぎ取り提示する。



門田泰明著「皇帝の剣」下巻、江戸の長屋に住む剣法の達人であり浮世絵師宗次の今日の都へ帝の拝謁の為に参内する物語だ。京都を舞台に刀剣、旅籠、茶そして公家、大名など江戸時代の京都の風情と物語を絡ませ痛快活劇で楽しく時間を潰すことのできる時代小説である。



門田泰明著「秘剣 双ツ竜」浮世絵師宗次日月抄シリーズ、徳川四代将軍家綱を父とした扇姫に襲い掛かる様々な苦難を浮世絵師宗次が奮闘する物語だ。大老酒井清忠らの陰謀の元、青装束の忍びの手練れとの切りあいに始まり、甲斐は武田家の血筋を引くくノ一集団やらと、凄まじい程練りに練ったプロットは圧巻だる。


金曜日, 11月 04, 2016

黒川博行著「キャッツアイはころがった」、著者の出世作でミステリー大賞に輝いた作品だ。湖で発見された死体の口からキャツアイが転がり出た。さらに京都での大学生の死体、大阪での浮浪者の死体とこの殺人事件は広域捜査の対象となった。殺された大学生の級友が犯人を捜す、広域捜査官の捜査と著者のプロットは冴えを見せ軽快な文体と軽妙な関西弁の語り口が、読者を最終ページへと繰らせる。


火曜日, 11月 01, 2016

高橋克彦著「鬼」、平安時代の京の都で出没する鬼をテーマに陰陽師の悪霊怨霊払いをテーマにした物語だ。短編5編からなる本書は、権力を志向する者たちと取り巻く悪霊の狭間で活躍する陰陽師、滋岳川人、弓削是雄、安部晴明といった人々の登場である。いつの世も恐ろしきは、人の心である。



東野圭吾著「魔球」、高校野球に絡んだ殺人事件、貧困に喘ぐ家庭で暮らす天才的野球少年の苦悩と苦闘の渦中で発生した殺人事件を刑事が追う。少年の生い立ちを含め様々な伏線プロットを用意し事件の真相に迫る。著者の軽快な文体が最後まで楽しませてくれる佳作だ。



東野圭吾著「11文字の殺人」、Y島という離島で行われた殺人、その殺人を調査した女性推理作家と友人の冬子がその謎を追走する。クルーザーでY島へ行った人々を調査する過程で様々な予期せぬ殺人が次々と実行される。著者の軽快な文体とあいまって読者を一気に最終ページまで繰らせる魅力がある。



新海誠著「君の名は」、空想と現実のファンタジーとでも言ったら良いのだろうか?そして青春の妄想と忘却、希望、恋愛。忘却いな現実の中に生まれ育った故郷がある糸守町、神社、湖、役場の防災無線と。生き続けることそれは一種ファンタジーだ。



高橋克彦著「だましゑ歌麿」、江戸で絵師を絡めた殺人事件が発生する。歌麿の伴侶おりよが、無残な形で殺害される。南町奉行所の仙波一之進が事件の捜査に乗り出す。世は松平定信のお触れによる緊縮そして贅沢禁止だ。妻を殺害された絵師歌麿を始めとして版元蔦屋、南町、北町奉行所を交えての混沌とした状況の中で仙波遂に犯人を特定する。火付け盗賊改の中山であった。



又吉直樹著「火花」、お笑い芸人同志の付き合いの中で、主人公徳永と別の漫才師神谷との情感と寂寥感がひしひしと伝わってくる人生物語だ。少し欠陥のある神谷を徳永が見つめる眼は冷静で人生の悲哀と孤独と様々な関連を振りまきながら生きて行く。生きるとはこういつことかもしれない。



スタンダール著「赤と黒」下巻、ジュリヤンは、レーナル家を離れ、神父の推薦でラ・モール邸の公爵の執事として採用される。1830年代のフランスの貴族階級の様々な社会情勢を背景として物語は進む。ジュリヤンはその公爵の娘ラ・モール嬢に恋心を抱き煩悶する。作者がレーナル夫人と対象的に描くこの公爵令嬢は、自尊心が強く我儘でかつ純粋さを持ち合わせた性格だった。この恋愛によりジュリヤンは破滅へと突き進む。当時の階級下層の出身のジュリヤンと公爵令嬢、さらにレーナル夫人との恋愛を通して社会の偏見と闘い死に至る主人公の物語だ。



スタンダール著「赤と黒」上巻、1830年代フランス片田舎ヴぇりエールでの若きジュリヤンは、貧民層の生まれだが、その容姿と頭脳は飛び抜けて素晴らしく神学校生活からレーナル家の家庭教師へ。その家の美しい夫人と恋に落ち苦悩と煩悩さらに神への不信の生活を送る。そしてパリの神学校に移住しそこでかれジュリヤンは才能を発揮する。



門田泰明著「皇帝の剣」上巻、著者の書は本書が初めてである。浮世絵宗次日月抄シリーズの一作だと思う。江戸の長屋に住む天才浮世絵師宗次が、京の都の天皇の命で江戸から京都へと赴く。京では滞在中様々な苦難が待ち受けている。そして天皇に仙洞御所にて拝謁できるまでが上巻である。


木曜日, 10月 13, 2016

ジェフリー・ディーヴァー著「クリスマス・プレゼント」、久しぶりにディーヴァーの書を読んだ。16篇収められた短編集だ。最近の著者の作品は従来の切れがないが、この古い短編集は長編作に劣らず面白い。


水曜日, 10月 12, 2016

黒川博行著「大博打」、大阪を舞台にして、富豪な老人誘拐事件が発生し捜査に当たる大阪府警と犯人家族を巻き込んで身代金として犯人からの提示の金塊1トン余を巡りの攻防だ。著者な軽快な文体とともに最後まで飽きさせないプロット、余りにも使い古された誘拐というテーマは蘇る。


火曜日, 10月 11, 2016

百田尚樹著「カエルの楽園」、ナパージュという名のツチガエルの楽園がありました。ソクラテスとロベルトという別のカエルがナパージュにやってきて、楽園の様子を観察した物語となっています。楽園には山戒という、争わないという憲法がありました。ツチガエルはその山戒を最後まで死守しよとしてウシガエルに征服されてしまいました。著者の思想が凝縮した物語となっています。



月曜日, 10月 10, 2016

黒川博行著「煙霞」、高校教師2人と勤務する高校の理事長取り巻きのブローカらとの果てしなくスリリングな抗争が始まる。果ては、3億円を超える金塊100キロの争奪と読者を飽きさせない。高校の学園ものと思いきや、やはり著者の本領発揮だ。


日曜日, 10月 09, 2016

黒川博行著「悪果」、例によって、大阪を舞台にした刑事とヤクザの世界を超リアリティを持って描く作者の力量には、目を見張るものがある。警察内部は元よりヤクザの世界、殺人、賭博、シノギ等々読んでいて読者を飽きさせないリアリティがちりばめられている。


木曜日, 10月 06, 2016

黒川博行著「暗礁」、大阪を舞台にした破門に続くヤクザと堅気の主人公が絡む物語。ヤクザの桑原と主人公の掛け合いがたまらなく面白い。人間味とヤクザ特有の金に対する執念、抗争、血どこまでも裏社会をこんなにもユーモラスに描く作家はいない。


土曜日, 10月 01, 2016

池井戸潤著「陸王」、埼玉県行田市で足袋製造を営む「こはぜ屋」創業から100年もの歴史を持つ老舗だ。社長の宮沢は業務の販売の衰退傾向、先細り感は否めない。何か新しい商品の開発をと靴シューズに目をつける。それが、陸王の誕生になった。死蔵の特許権者を抱き込みシルクレイという新たな素材をソールにと開発し大手企業アトランティスに挑戦する。資金繰りや従業員の面倒等々小企業が抱える問題の全てを抱え込む宮沢社長の苦悩は経営者の実像で決して小説の中だけではない。そして新たな展開についてもやはり経営者の人となりだと思う。楽しく最後までページを繰らせる力のある作品だ。



トルストイ著「アンナ・カレーニナ」下巻、遂に破局を迎えるアンナとヴロンスキー、様々な葛藤や妄執の只中に暮らすアンナがとった最後の手段は自殺であった。アンナの自殺に至る心理は女性特有の妄想の中に只あり、愛という実態のない精神世界を見事に描いている。一方対比としてキチイとリョーヴィンの幸福な生活さらにリョーヴィンが、人生に苦悩し農事生活の中で信仰に目覚め希望を見出す。社交界やら苦悩、懊悩、不義不倫、愛とさらに戦争そして上巻でも指定したマルクスの唯物論的思想とまさに百花繚乱的小説であった。



トルストイ著「アンナ・カレーニナ」上巻、ペテルブルグでのアンナの生活の変化そしてヴロンスキーに対しての心情の変化は、遂に愛へと変化し不倫へと発展してゆく。この上巻の中で、リョービンの兄ニコライの発した言葉の中にマルクスの理論があったのは驚嘆すべき事柄だった。著者は「資本論」を読んでいたのか?とおもった。

黒川博行緒「破門」、大阪を舞台に主人公二宮と腐れ縁となったヤクザの世界を描く。シノギに汲々として暮らすヤクザの世界は、極道の非情さよりも何故か滑稽で愛着を感じる。人生どの世界も生きて行くって大変だなとつくづく思う。


水曜日, 9月 14, 2016

黒川博行著「後妻業」、大阪を舞台に結婚相談所を営む元ヤクザ柏木そこに登録した会員武内小夜子、両人が計画し実行する後妻業とは老人相手に小夜子を差し向け無理やり公正証書(遺言書)に署名させ殺害し金を奪うといった商売だ。元暴対警察官の柏木は興信所の職員、身辺調査を弁護士から依頼を受け調査する過程で彼らの後妻業の実態を掴む。。


月曜日, 9月 12, 2016

池井戸潤著「鉄の骨」、中堅ゼネコン一松組の入社数年の平太の経験する談合の世界。談合を仕切るフィクサーと大手ゼネコン各担当、東京都が発注する地下鉄工事を巡り虚々実々の展開と平太の恋人萌さらに平太の家族を交えて物語が進んでゆく。実に上手いプロットだ。絶妙な伏線に感嘆する。


日曜日, 9月 11, 2016

東野圭吾著「美しき凶器」、著者の作品はかなり読んでいるが、今回の書は中でも痛快サスペンスだ。ドーピングが絡む元運動選手4人ひょんなことからコーチ仙堂を殺害し愛弟子の外国人の女に狙われ、仲間が次々と殺害される。女性の見栄と傲慢が犯行を先導する。


土曜日, 9月 10, 2016

ドン・ウィンズロウ著「ザ・カルテル」下巻、やはり「犬の力」の続編だった。2200頁にも及ぶこの大作は、メキシコとアメリカ政府との関係を含めさらにジャーナリズムへの攻撃など痛烈な批判を副次的に暗示している。メキシコでの麻薬カルテルの抗争、虐殺、腐敗、暴力、威嚇など人間が考えられるすべの悪行を軽妙なタッチで描く。ケラーとバレーラの果てしない戦いに要約終止符が打たれた。


火曜日, 9月 06, 2016

ドン・ウィンズロウ著「ザ・カルテル」上巻、メキシコ社会の麻薬カルテルを描いた作品だ。「犬の力」を彷彿とさせる作品だ。麻薬、暴力、殺戮、汚職となんでもありの闇社会でカルテルのボス、アダン・バレーラを執拗に追い続けるケラー捜査官の今後は。。


土曜日, 9月 03, 2016

東野圭吾著「おれは非常勤」、作家を目指す主人公は、名前が無い。小学校を転々として非常勤講師先生を務める。それぞれの小学校で起こる事件を見事に解決してみせる。気軽に読めるミステリーだ。





東野圭吾著「プラチナデータ」、警察庁特殊化学捜査研究所の主任解析員神楽龍平を中心として巻き起こる事件それは連続殺人事件だった。神楽の精神構造は二重人格で彼本人に対してリューヘイとなって意識から離れ独立して現れる。科警研の中でDNA捜査システムを操作する神楽はふと今回の殺人事件の解析捜査の中でシステムの異常を発見するこの発見が後に重大な意味を持ち様々な事象が持ち上がる。警察庁、警視庁そして科警研と神楽らが入り乱れ捜査そして神楽の逃走と目まぐるしく展開し最後はどんでん返しとなって事件は解決する。

レオ・ベルッツ著「最後の審判の巨匠」、1900年代ウィーンを舞台に起こる殺人事件、著名な俳優ビショーフがある日自宅に友人たちを招き楽器の演奏やらをしている只中で四阿で一人リボルバーを自身の頭に銃弾を撃ち込み絶命する。男爵、博士そして技術師三人が事件の真相を解決するべく奮闘するが結末は歴史ロマンに潜む魔術的様相を呈し読者をまさに翻弄する物語だ。





フローベル著「ボヴァリー夫人」下巻、いよいよロドルフとの恋に破れ、再びレオンとの恋を貪る夫人は借金地獄と化し服毒自殺し生涯を終える。人間の物欲、情欲の上に人生を生きることの儚さを思い切り描いたこの作品は読者に感動を与えて止まない。

フローベル著「ボヴァリー夫人」上巻、フランス片田舎の医師シャルルの下に再婚したエンマこそボヴァリー夫人である。二人の結婚までの過程がそれぞれ語られてゆく。田舎の怠惰の生活の中で悶々として暮らす夫人が青年レオンへの恋情に目覚めていく過程またこの田舎の新参者ロドルフの執拗な恋の吐露と攻撃が上巻である。



日曜日, 8月 21, 2016

植草甚一著「植草甚一の読書誌」、ジャズもそうだが、アメリカ文学にも造詣の深い元気でお洒落なジーさんという印象だ。私の知らない本を一杯読み当時はまだ不便だったろうニューヨークに本を買いに何度も行くといった著者の生き様は真似ようにもできない。


土曜日, 8月 20, 2016

村上春樹著「神の子どもたちはみな踊る」、短編集だ。読後、寂寥と孤独感とともに人生ってそれほど悪くはないと思う。決められたレールの上を進む電車に似て運命を感じる。


金曜日, 8月 19, 2016

池井戸潤著「七つの会議」、大手メーカ子会社東京建電に勤務するそれぞれの職域でのサラリーマンの悲哀を描きサラリーマンとして人間としての生き方を模索する。そんな会社で不正が発覚した。部品の強度不足にともなう会社の存亡を賭けた隠蔽工作、只中で右往左往する役職連結局表面に隠蔽が発覚した。困難な状況下で保身一辺倒に終始する役員たちモノづくりの原点とはまさに物を使用した人たち消費者を幸せにする。ということだった。


火曜日, 8月 16, 2016

海堂尊著「ナニワ・モンスター」、チームバチスタを読んで以来だ。今回のテーマは第1部から3部と変遷してゆく、そしてテーマは壮大でその中心は国民・地域住民の幸福の為に既得権益に守られた官僚及び主義に対抗する官僚や知事首長たちだ。医療を地域行政の根幹にという筆者の考えこと今後日本の高齢社会で必要となるのではないか?。


木曜日, 8月 11, 2016

東野圭吾著「カッコウの卵は誰のもの」、自社の宣伝の為にスポーツ科学研究所を創立しDNAの分析研究の結果、スポーツに最適と思われるパターンを発見した新生開発は、緋田風美という女子をアルペンスキーにつかせ登用する。彼女を中心に係る人間たちの確執と欺瞞が渦巻く中で殺人事件が起こる。そして犯人は自殺する。人間死を意識した時に全てを許すことができると。


火曜日, 8月 09, 2016

村上春樹著「1973年のピンボール」、1980年刊という古いものだ。村上ワールドの空間だ。青春、孤独、寂寥、不条理、音楽、人生すべてが、著者の空間の中で彷徨いそして色彩を放つ異空間だ。過去は過去、今は今そして未来はあるかもしれない。

伊坂幸太郎著「アヒルと鴨のコインロッカー」、青春ミステリーといおうか?過去と現在を織り交ぜ物語は進む。ブータン人と椎名、店長麗子そして動物虐待の犯人を許せないブータン人川崎この奇妙な取り合わせが面白い。


金曜日, 8月 05, 2016

貫井徳郎著「慟哭」、連続幼女誘拐殺人事件が発生する。犯人の宗教・教団をとおして生への回帰を希求し黒魔術を施すべく次々と誘拐殺人を重ねる。警視庁キャリアの捜査一課長佐伯が捜査に当たるが全く進捗は無い。そんなある日自分の娘が誘拐され殺された、佐伯の人生が変わる。平凡な家庭に潜む亀裂と煩わしさ、警察内部での対立、新興宗教団体と当世の要素を上手く絡めて最後はどんでん返し的な結末を迎える。


水曜日, 8月 03, 2016

浅田次郎著「壬生義士伝」下巻、新選組の生き残りの語りにより、南部藩の足軽吉村貫一郎とその家族さらに関係する人々の描写が何とも素晴らしく、勘一郎の生き様を生き生きと描き上げている。義に生きた維新前後の新選組を通して吉村貫一郎の人生を語る名作だ。


火曜日, 8月 02, 2016

星野道夫著「旅をする木」、アラスカに渡り20年近くその地に留まりアラスカの自然を撮影する著者の随筆だ。巨大な自然を前にして人間は無力だ。この書を読むと自分の人生を振替り今後のことを考えさせられる。読後の清涼感は格別だ。


月曜日, 8月 01, 2016

サマーセット・モーム著「月と六ペンス」、イギリスはロンドンからマルセイユさらに南太平洋の楽園タヒチへとそして不治の病に感染し最後を遂げる天才画家ストッリクランドの生涯を若き作家が綴る物語。画家ゴーギャンの生涯を模したといわれるこの作品は、人間の人生について様々な示唆を与えてくれる。株仲買人から40代にして突然全てを捨て去り本能の赴くままに絵画に没頭するといった異常とも思える情熱がストリックランドのどこから迸り出てというところまでは深く追及されていない。この画家との親交があった人々を訪ね詳細を明らかにしてゆくが、関心の絵を描くことに賭ける情熱の源泉については触れられていない。


木曜日, 7月 28, 2016

夏目漱石著「こころ」、書生の主人公である私が、先生との関係の中で苦悩しながら生きる。先生の長文の遺書を下に先生の「こころ」の動き震えを、はたまた友人Kを裏切り自殺に追い込んだこころの傷跡を舐めながら生きる先生の人生は儚くまた清い懊悩の中にあったのか。


日曜日, 7月 24, 2016

メルヴィル著「白鯨」下巻、鯨や捕鯨船の詳細な考察は素晴らしく、エイハブ船長を始め乗組員それぞれの記述も面白い。船長の抹香鯨(モービー・ディック)に対する執拗な追走は、彼の人生そのものだ。目標に向かって40数年捕鯨、抹香鯨を追う生活そのものがエイハブ船長のまさに人生だ。そしてその捕鯨中海中へと歿し生命を絶たれる。


日曜日, 7月 17, 2016

浅田次郎著「壬生義史伝」上巻、幕末を新選組の中にあって生きながらえた者による回想録とでもいった物語だ。新選組の各面々の思想、信条や行動が面白く書かれている。


水曜日, 7月 13, 2016

メルヴィル著「白鯨」上巻、捕鯨船が港を出て航海を続けエイハブ船長と船員30名ほどのドラマが船上にて始まる。怒りの主人公エイハブが目指す白鯨(モービーディック)は、悪鬼かそれとも集熱地獄か執拗に白鯨を追い続け航海をする前編だ。


木曜日, 7月 07, 2016

夏目漱石著「坊ちゃん」、「吾輩は猫である」のすぐ後に読んだ短編坊ちゃんは、著者が一週間足らずで完成したという。松山中学に赴任した坊ちゃん、その取り巻きの人物設定はこの時期を彷彿とさせる設定のように思える。一心直情な坊ちゃんをとおして当時の世の中を見る作者の眼に感銘だ。


水曜日, 7月 06, 2016

ディケンズ著「デイヴィッド・コパフィールド」第四巻、愛しのドーラとの結婚も果たし幸せな生活を営んでいるコパフィールドの身にすぎ次と襲い掛かる不運、妻ドーラの死友人ステアフォースの死そしてハムの死とこの上なく不幸の連鎖の中で翻弄されてゆくコパフィールド、人生とはかくも惨い試練を神は与えるものだと。しかし一方でヒープを追放しアグニス一家を救い、他方では物書きとして徐々に名声を博してきたコパフィールド、遂にアグニスとの結婚を成就させ平穏で幸福な時をもてるようになった。人生の感慨と作者の心理描写の巧みさに拍手。



日曜日, 7月 03, 2016

夏目漱石著「吾輩は猫である」、苦沙弥先生中学の先生の家に居ついた猫をとおして、世間を先生の友人たちの言動について評する。作者の類まれな機智と洒落が随所に描写され思わずうなってしまう。漱石40歳の処女作だという。


E・ブロンテ著「嵐が丘」下巻、著者の生涯を読んで、英国の寒村で黙々と著作を綴った彼女の生涯と重なると思う。荒涼たる自然環境の中で生を生きる人間の心理とエネルギーをヒースクリフの人生をとおして描き上げた小説である。荒涼たる自然、生と死、魂、神、愛これらが混然一体となった物語である。ヒースクリフの死は果たして安楽な生を生むのだろうか?


土曜日, 7月 02, 2016

J・オースティン著「高慢と偏見」、プロットは単純だが、そのベネット家の女性たち就中主人公エリザベスが交わる人間との交錯と心理描写は微細な振動を与え読者を満足させてくれる。

金曜日, 7月 01, 2016

ディケンズ著「デイヴィッド・コパフィールド」第三巻、コパフィールドに次々と降りかかる新たな試練、法律事務所の書記として勤めた上司スペンロウその娘ドーラに激しい恋心を抱くそして二人で婚約までするのだが。長年に渡り彼を面倒みてくれた伯母の破産や法律事務所の解散等々。彼の人生に降りかかる幾多の困難そんな中でも自分を見失うことなく将来を夢見て努力するその根拠はやはり愛する人に恵まれたということではなかろうか?。

日曜日, 6月 26, 2016

安部龍太郎著「等伯」下巻、信長亡き後家康の天下に至る等伯の生き様を描く下巻である。人の人生は家族親類縁者は下より多数のお蔭を持って生きながらえる。仏に寄り添い一心不乱に人生を生き抜いた等伯の人生は、生きることの悲しみと苦しみそして喜びを表現している作者に感銘を覚えずにはいられない。


土曜日, 6月 25, 2016

ディエケンズ著「デイヴィッド・コパフィールド」第二巻、伯母の庇護の下、カンタベリーの学校へ行くようになり、それから民法博士会の書記となり歩み彼の生活の変化と大人への階段を上る。ステアフォースを始めセイレム塾時代の旧友との再会や親交、そして胸もあり裂けるばかりの恋情と青春時代のコパフィールドだ。

火曜日, 6月 21, 2016

E・ブロンテ著「嵐が丘」上巻、イギリスの田舎に立つ屋敷それが嵐が丘だ。そこの主人が連れ帰った孤児ヒースクリフは、キャサリンに恋をする。彼が家を出た後、彼女は隣家の息子エドガーと結婚してしまう。故郷に帰った彼の失望は執拗なまでの彼女への恋の情熱と復讐を決意する。


ディケンズ著「デイヴィッド・コパフィールド」第一巻、ディケンズの自伝的小説と言われる長編大作だ。主人公デイヴィッドの誕生から幼少年期までの人生行路が描かれている。彼は、幼くして父を亡くし、その後母は再婚、同居のその義父と姉との執拗なまでの仲違いから始まり、遂にロンドンの学校へ寄宿生活さらに丁稚奉公として酒庫屋に。そこを逃亡して伯母トロットウッドの元へと多感な少年時代が綴られる。



月曜日, 6月 20, 2016

安部龍太郎著「等伯」上巻、能登七尾で生を受けた信春(等伯)が苦難の絵師として行脚を続ける生い立ちを描いた上巻である。信長の天下の下で様々な虐待に遭遇し堺の油屋に己を寄せ画に没頭する毎日を、そして妻を亡くし再び都に上り絵師としての道を浸すら追い求める等伯の境遇を描く。


木曜日, 6月 16, 2016

池井戸潤著「民王」、親父と倅が入れ替わるという奇想天外な発想、しかも親父武藤泰山は時の総理大臣で息子は就活している大学生という設定が実に面白い。政治家の前に人間としての生きて行く道を説き何が生きる上で大切かを教えてくれる。


木曜日, 6月 09, 2016

エラリー・クイーン著「ギリシャ棺の秘密」、1930年代の戦前の作品にしては、完璧なミステリー小説であるとともに、読者を楽しませてくれるどんでん返しもある傑作だと思う。捜査側から最終的な犯人が出るといった今では珍しくもないが、このプロットを丁寧に描写するクイーンの手腕に拍手せざるをえない。


ジャック・ケッチャム著「隣の家の少女」、ありふれた少年少女の牧歌的な風景とその生活描写から一転して恐怖の世界へ。隣家へ越してきた少女2人姉妹と私デービッドそして養母のルースによる地下室での虐待が開始される。悪を眼前で見ながら救うことのできない様を執拗に描くケッチャムという作家の卓越した視点だ。


水曜日, 6月 08, 2016

荻原浩著「噂」、都内目黒区で発生した、若い女性の連続殺人事件しかも死体から足首が切断されているといった猟奇事件に巡査部長小暮と警視庁名島が事件解決を目途に挑む。両刑事は片方小暮は妻を亡くし名島も一人息子を抱える身だ。この二人の関係そして事件の手がかりが一向に掴めない状況が続く。プロットとしては複雑ではないが、楽しませてくれるミステリー小説だ。


バルザック著「ゴリオ爺さん」、サマーセット・モームの言う「世界小説10選」の中に入る名著だと。パリを舞台とする貴族社会を背景に繰り広げる人生ドラマだ。父親の子供への限りなき愛、そして人生、若い学生の貴族社会への憧憬、落胆、愛と絶望、富と貧乏あらゆる人生を生き抜く途上で遭遇するテーマを網羅した名著。


土曜日, 5月 28, 2016

トルストイ著「戦争と平和」第四巻、ナポレオン率いるフランス軍は敗退を余儀なくされロシア軍の追撃と勝利となる。ピエールの戦争で得た啓示、ロストフ家の没落、ナターシャとの結婚などが描かれる。この書を読破して、そして最も知りたかったのはトルストイの歴史観であった。英雄や一部の天才によって歴史が展開するのではなく、それこそ民衆の総和が歴史を動かすという理論はまさに当時の歴史学者を圧倒するものだったと思われる。


水曜日, 5月 25, 2016

逢坂剛著「カディスの赤い星」、スペイン独裁時代の冒険長編ミステリーだ。大手楽器のPR事業を営む所長漆田亮のもとにスペインからフラメンコギター製作家ラモスが来日するのを契機に物語は進んでゆく。失われた名器フェルナンデスのギターを探して漆田の格闘が開始される。冒険あり恋愛あり当時のスペインの不穏な情勢の中での格闘といった読み手を引き付ける全ての項目が編入され面白い。


月曜日, 5月 23, 2016

ヴァン・ダイン著「グリーン家殺人事件」、古典的な名作だ。莫大な遺産相続することになったグリーン家の家族を次々と悲劇が襲う。犯人は依然として不明、名探偵ヴァンスも手も足も出ない。犯人の殺人に至るプロットとしては、ありふれたものだ。犯人の生い立ちそして事件を記録した著述からのヒントをもってヴァンスの推理が冴える。


金曜日, 5月 20, 2016

トルストイ「戦争と平和」第三巻、愈々もって戦争は激しくナポレオン・フランス軍とロシア軍の戦闘は熾烈を極めた。そして遂にモスクワが陥落する。アンドレイ公爵は戦場で負傷し、モスクワから避難の途中、何というかロストフ家の避難と一緒になり、再び公爵はナターシャと再会する。


日曜日, 5月 15, 2016

逢坂剛著「カディスの赤い星」、日野楽器という大手楽器メーカーとのPR契約を結ぶ漆田、スペインから伝説のギター制作家ラモスが来日する。娘のフローラと同行だ。ラモスの依頼を受け、日野楽器から託された事案は、昔ラモスと親しかったサントスを探せという厳命だ。しかし依頼の本来の目的は、ダイヤが埋め込まれたギターを取り返すことだった。娘フローラに関連しスペインの「FRAP」という過激派と日本の過激派が、漆田の廻りをウロウロする。事態はスペインへと。


トルストイ著「戦争と平和」第二巻、つかの間のナポレオン軍との戦の狭間でのモスクワでの青年貴公子らの生活を綴る。戦争の中で、人生に迷い、懊悩し、死を考えそして恋愛という人間のあらゆる感情が交錯する。ロストフ家のナターシャとアンドレイ公爵との破局、貴族社会の模様が描かれる。


木曜日, 5月 12, 2016

綾辻行人著「霧越邸殺人事件」、以前「十角館殺人事件」を読んだ記憶があるが、内容までは思い出せない。久しぶりに著者の作品を読んだ。吹雪の中、2泊3日の旅行から帰る途中で、劇団員は道に迷い辿り着いたその先それが霧越邸だった。そして劇団員が次々と殺害される。著者の館シリーズでも評判だとこの作品は、館そのものの異常性や威容な佇まいより寧ろ人間の生死、情念の中で起きる殺人事件といった感想だ。


金曜日, 5月 06, 2016

レジナルド・ヒル著「骨と沈黙」、ダルジール・パスコー警察官シリーズらしいが、著者の作品は始めてだ。自宅のアパートから殺人らしいシーンを目撃した警視は、その部屋に飛び込んだが、殺人事件を目撃してしまう。ここから物語は始まる。複数なプロットと数多い登場人物が絡み合い、事件の真相は紆余曲折していく。


トルストイ著「戦争と平和」第一巻、19世紀初頭の来る戦争の足音とロシア貴族の様子が語られる。ベズーホフ伯爵の莫大な遺産を相続するピエール。戦争へと突入し青年将校がオーストリア戦線へと従軍する。アンドレイ公爵も戦争へと、戦地での人間の様々な駆け引きや模様が描かれ、ついに公爵はフランス・ナポレオン軍の捕虜となる。彼、公爵がナポレオンを見て感じた人間のあまりにも狭小な虚栄心そして大空を仰ぎ見て思う人生の悲哀。


篠田真由美著「灰色の砦」、輝額荘という古びたアパートに展開する殺人事件物語。建築家フランク・ロイド・ライトの史実を織り交ぜながらのプロットの展開、さらに複雑な経路を辿り建築探偵桜井京介が追及する事件の謎と盛りだくさんな内容だ。青春の邂逅に出会えるミステリーだ。


月曜日, 5月 02, 2016

三津田信三著「厭魅の如き憑くもの」因習的伝習に捕らわれた深い山村を舞台に発生する連続殺人事件都会から民族学的因習やらを研究する青年が到着する。それにしても憑きもの信仰やら村を二分する部落対立ありとあらゆる不可思議な因習が徘徊し殺人事件が発生する。青年刀城言耶が、様々な体験を通して事件を解決してゆく本格&ホラーミステリーであり横溝作品とは違った味わいがある。



歌野晶午著「密室殺人ゲーム大手飛車取り」5人のネットゲーマーが、チャットを通じて殺人ゲームを次々と実行してゆく。密室殺人ゲームを各々が提案し仲間が解いてゆくといった内容だ。本格的推理小説から逸脱した感は否めない。ドキドキ感、娯楽性は全くない。最先端的ミステリーと評論家は評し二十一世紀の探偵小説だと言うが、面白くてドキドキ感そして最後までページを繰らせる期待感こそミステリーだと思う。




北村薫著「空飛ぶ馬」、題名はミステリアスだが、内容は至って平々凡々とした小説だ。女子大生の視点でその日常生活や友人との交友、そんな中に噺家円紫実は名探偵という人物が登場する。どんで返しやホラーといったミステリーらしさは全くもってない。こんなミステリーもあるんだ。という印象だ。


高木彬光著「人形はなぜ殺される」は、怪奇(ホラー系)とミステリーの融合といった小説だ。名探偵神津恭介と松下研三が、事件に巻き込まれ最後に解決するミステリーだ。魔術協会、福徳経済会・投資会社、精神病院と多彩の場所を描き、殺人が実行されてゆく。



月曜日, 4月 18, 2016

北山猛邦著「アリス・ミラー城殺人事件」大枠のプロットとして、地球規模の環境破壊を根底に東北の孤島に招待された探偵が、次々に殺害される。トリックを駆使して殺害される。しかも最後に残ったのは、招待されてないアリス本人だった。何故か今一しっくりこないミステリーだ。


貫井徳郎著「愚行録」は、特異なミステリーだ。一家惨殺事件を下に、インタビューワーが関連する人物の証言を披歴する。男性や女性の証言はたまた過去の生い立ち、学生生活等々。殺人ミステリーながら、人間の愚かさと儚さそして悲しさが伝わる正に愚行録である。


日曜日, 4月 17, 2016

島田荘」司著「占星術殺人事件」昭和初期、画家梅沢平吉と先妻、後妻の娘6人が惨殺される殺人事件が発生した。それから40年後一人の青年御手洗潔によって事件が解決するといった長編ミステリーだ。プロットは面白くページを繰らせる力量はあるが、読後今一すっきりしない。何故か?すべての細々としたすっきりと解決されて無いように思えるからだ。


金曜日, 4月 15, 2016

折原一著「倒錯のロンド」著者の作品を読むのは始めてだ。作家志望の貧乏青年が、安アパートで執筆した作品「幻の女」の著作品を巡り、殺人事件を絡ませ複雑な様相を呈していく。最後に青年が、精神疾患の患者だとどんでん返しを食らう。読者を欺く叙述トリックここにあり。


月曜日, 4月 11, 2016

カミラ・レックバリ著「氷姫」、彼女はスウェーデンのミステリー作家だという。まず思い出すのはスティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズだ。作品の中核となる性的虐待が余りにも似ているため思い出した。ストックホルム郊外の小さな漁村フィエルバッカで起きた殺人事件、担当する刑事パトリックと作家志望のエリカの奮闘が事件の解決へと。


日曜日, 4月 10, 2016

我孫子武丸著「殺戮にいたる病」は、混沌とした現代社会とりわけ各家庭での暴力や性的倒錯を背景に殺人が発生する。そしてその病理は混沌錯綜して最後の最後まで犯人が不明となる叙述トリックを用いて読者を呆然とさせる。


貴志祐介著「青い炎」は、倒叙推理小説と言われる予め殺人事件の手の内を犯人の側からその巧みな心理描写と共に明らかにし最後にそのトリックを警察によって暴かれるというものだそうだ。主人公櫛森秀一は高校二年生だ。母が離婚した前夫が、彼の家に転がり込んで家族皆に心痛を強いるこのままでは、家族が破壊されると思った少年が、周到な計画の下に殺人計画を練り実行する。


水曜日, 4月 06, 2016

西澤保彦著「七回死んだ男」著者の作品は初めて読む。人生の一場面のシーンが反復するといった奇抜なプロットだが、主人公大庭久太郎の祖父の遺産相続を巡る骨肉の争いをテーマに反復の落とし穴を絡め殺人事件へと。過去を繰り返すというテーマは、面白い。

火曜日, 4月 05, 2016

東野圭吾著「虚像の道化師」、あまりにも有名な物理学者湯川博士の推理・ミステリーものだ。短編6編が収録されている。どれも気軽に読めるガリレオの世界を堪能できるショートミステリー集だ。



アン・クリーヴス著「大鴉の啼く冬」、彼女の作品を初めて読む。イングランドの北の果てにあるシェトランドは辺境の地だ。ここで少女に絡む殺人事件が発生する。シェトランドの住人の狭い地域ならではの人間関係、確執、嫉妬やらを根底に起きる殺人事件、ジミー・ペレス警部の追及がはじまった。犯人は意外にも同級生だった。


月曜日, 4月 04, 2016

ジョン・ダニング著「死の蔵書」殺人捜査官ジェーンウェイが、事件を追う。状況設定が古書や初版本のコレクターさらに掘出し屋を巡る事件だ。ジェーンウェイは遂に警察官を辞めて古書店を開業する。その店内で殺人事件が発生し、警官を辞めたにも関わらず事件を追う。様々なジャンルの書籍が紹介され、本好きには間違いなく楽しめるミステリーだ。


有栖川有栖著「双頭の悪魔」は、700ページにも及ぶ長編だ。四国は高知県の田舎木更村と川を隔てた対岸の夏森村で同時進行的に起きた殺人事件を江神次郎が解き明かす物語だ。少し冗長性は否めないが、プロットそして登場人物の描写が素晴らしく最後までページを繰らせる力を持っている作品だ。殺人の論理も妥当と思われる。


火曜日, 3月 22, 2016

島田荘司著「異邦の騎士」、記憶を喪失した青年の身に迫る様々な危険と向き合い必死に生きて行く姿がこの本にある。人生と愛儚くも何故か思い出して微笑むような人生の谷間に咲く一輪の花のような。著者の初作の本書は、プロットといい文章の力強さといい申し分ない出来だ。


ジェフ・アボット著「図書館の死体」久しぶりの洋ものだ。母がアルツハイマー病を患いやむなく故郷ミラボーの田舎に戻ったジョウダンの身に殺人の嫌疑がかかる。狂信者ベーターという女性が、彼の勤める図書館で深夜殺害された。田舎特有の濃い人間関係を主軸に殺人事件解決に向けジョーダンが活躍する物語だ。プロットもそれなり、まあまあ楽しめる一冊だ。


金曜日, 3月 18, 2016

乃南アサ著「暗鬼」が本書だ。著者の作品は初めて読む。東京のとある郊外の大邸宅に嫁いだ法子、そこに暮らす家族、そう家族がテーマだ。おどろおどろしい家族その中で迷い慟哭してゆく嫁法子の姿。家族とは何か?家族の闇が法子の全身を包む。サスペンスタッチの本書は何故かページを次々と繰らせる迫力がある。


火曜日, 3月 15, 2016

藤原伊織著「テロリストのパラソル」が本書だ。著者作品は初めて読む。40代中年のアル中が主人公島村そして友人の桑野、懐かしいことに60年代後半東大紛争、全共闘といった学生運動の描写がありしばし感嘆する。登場人物や状況設定プロットとそして恋愛まで絡ませ最後に小さなどんでん返しミステリー、ハードボイルドタッチな好著だ。


日曜日, 3月 13, 2016

横山秀夫著「動機」に収録された短編4作品は、どれも面白く日常に潜む人間の人生の無常というか不条理を描く。結末がどれも素晴らしい。


木曜日, 3月 10, 2016

倉知淳著「星降り山荘の殺人」何故か最終ページまで繰らせる面白さがある。秩父の山奥の山荘で起きる準密室といってもいい殺人事件。山荘の所有者の社長が、自分のコテージで殺害される。周りは雪原だ。残り8人の宿泊者の中にいると思われる殺人者を巡り、ミステリーサークルあり、登場人物の多彩な顔触れそして本格的なミステリーとして事件は思わぬ結論を引き出す。

「槐」月村良衛著。馬鹿馬鹿しくも面白い、そんなミステリーとは言えないが物語だ。中学生の夏休み、野外活動部の生徒達は教員の引率の下に湖畔へ。そこで事件は起きた。関帝連合のゴロツキ一味、さらにチャイニーズマフィアの息の掛かる蔡グループが40億円の金を巡り死闘を繰り広げる生徒たちは巻き込まれ絶体絶命のピンチ。そんな中、由良先生こと三つ扇槐こと国際テロリストのド派手な格闘により無時生徒たちは救われる。エンタテインメントそのものの物語だ。



火曜日, 3月 08, 2016

米澤穂信著「儚い羊たちの祝宴」が本書だ。短編を集めた作品だ。何故か江戸川乱歩とか横溝とか古い推理小説の毒々しさや恐怖感が根底にある、最近読んだ本の中では稀有な書だと思う。殊に「玉野五十鈴の誉れ」は圧巻だ。


月曜日, 3月 07, 2016

著者の作品は始めて読む。「ダックコール」という本書は、六篇の短編小説だ。ミステリーでは、無く野鳥やら水鳥やらが全編出現する異色のメルヘンチックな物語だ。男と鳥そしてそこにある人生の何たるか?背後にあるしみじみとした寂寥感を感じる。


木曜日, 3月 03, 2016

本書「ある閉ざされた雪の山荘で」、東野圭吾作品だ。演劇のオークションに合格した七人が、乗鞍高原のペンションに集めら、自分たちでストーリーを作り演じるという課題設定だ。しかし第一に目の夜から殺人が、そして翌日また一人と殺される遺体は発見できずに。。結末は、外部の人間の妄執がらみで解決する。今一腑に落ちない。


水曜日, 3月 02, 2016

本書「向日葵の咲かない夏」は、サイコ的ミステリーだ。主人公ミチオそして妹のミカ、両親、友人S君、泰造爺さんそしてトコ婆さんと少数な登場人物の中で起きる殺人事件をきっかけに、現実と非現実の狭間に揺れ動く人間関係を描写している。現実とは、生とはさらに人間とはを問う稀有なミステリーだ。



火曜日, 3月 01, 2016

本書「葉桜の季節に君を思うこと」は、主人公通称何でも屋が友人関係から様々な事件に巻き込まれてゆくミステリー的には今一だが、読後何故か爽快感がある。

金曜日, 2月 26, 2016

評判を目にして、求めた原寮著「私が殺した少女」は、誘拐殺人事件をテーマに元警視庁あがりの探偵沢崎が活躍するストリーだ。20年も前の著作は、プロット的にもありきたりで冗長性は否めない。最後のどんでん返し的結末もなんだか平凡で今となっては、古いという印象だ。



水曜日, 2月 24, 2016

山口雅也著「生ける屍の死」は、アメリカのニューイングランドの田舎で起こる死者蘇りをテーマに生者と死者が交錯してホラー的ミステリー小説として過去読んだことない不思議な作品だ。死とは?生とは?とまるで童話的な悪魔的な世界に読者を引き付け離さない。


月曜日, 2月 22, 2016

宇佐江真理著「糸車」は、蝦夷地松前藩の家老が夫である。その夫が罪を背負って死んだ。その死を見て逃走した息子勇馬を追って江戸は深川へと。小間物商いの行商しながら、只管息子を探し続けるという設定だ。深川の風情や住人の人情を降り噛みながら転嫁する物語は、家族そして人生を少なからず考えさせる物語だ。


日曜日, 2月 21, 2016

経営者森崎伸彦の娘朋美が、自動車事故で崖からダイブして死んだ。彼は自殺とは思っていなかった。そしてある日、別荘にて関係者を招待して寛ぎの時間を過ごしてもらおうと、とその時銀行強盗のの一味の二人が別荘に押し入って全員人質として捉えられる。そんな中で雪江という女性が殺害される。話の展開も面白いし軽妙だ。ディーヴァばりのどんでん返しとまではいかないが、十分に面白い。よくある結末をひねった結果だけれど。。


木曜日, 2月 18, 2016

ようやく冬の陣となり、幕府軍は勝利し大阪城の総濠を埋めてしまった。戦後の混乱はいまだに続き、家康と正宗の駆け引きは際限が無く行われた。


水曜日, 2月 17, 2016

半藤さんの歴史もの著作は、過去数冊読破している。軽妙なタッチの語り口がそのまま文章となっていて読みやすくて面白い。本書「幕末史」は、徳川幕府の崩壊から明治維新に至るまさに動乱の時代の講義である。幾たびかの衝突戦争を挟んで維新へと突き進んでいく我が国日本は、ビジョンもなく対立騒乱を繰り返しながら維新へと。


土曜日, 2月 13, 2016

大阪冬の陣までの家康の苦悩、正宗の廻りで諸藩の動静、そして異教の対立などが目まぐるしく進展してゆく状況であった。

金曜日, 2月 12, 2016

村上春樹の古本を読んだ「国境の南、太陽の西」というタイトルだ。著者の書は、有為転変、存在と否定、そこはかとない寂寥感、孤独、不条理を見事に表現し、読後不安にさせる彼独特なスタイルは変わらない。


火曜日, 2月 09, 2016

太閤秀吉天下人の取り巻く世界を描く。大阪城の築城と秀吉子飼いの大名、家康、正宗の心理戦が続く。後の秀頼が誕生し天下人秀吉も秀頼の為に自身の死後を考え様々な人事を行う。

太閤秀吉が薨去した後の世相は、互いに肚を探り合う家康と豊家そして正宗の心理作戦だ。大久保長安を通じてイギリス、オランダやエスパニアまで宣教師が到来するなど、天下泰平になりつつある江戸に世界へ目を向けさせる出来事が起きた。しかし大阪城に籠る淀と秀頼と家康との間には遺恨があった。

木曜日, 2月 04, 2016

みおつくし料理帖に出てくる様々な料理を著者自らの手により紹介した本書は、著者の並々ならぬ愛情を感じる。


米沢の豪傑独眼竜正宗として秀吉天下の下、果敢に生きて行く描写は実に面白い。虎哉禅師の教えを実践してゆく正宗であった。いよいよ秀吉の凋落の兆しを見た正宗の次の一手は。


火曜日, 2月 02, 2016

1567年伊達政宗が誕生する。幼名梵天丸として虎哉禅師を筆頭に教育を受けてゆく。16才にして元服し19才にして初陣を果たす。数々の戦を渡り伊藤藤次郎正宗は人の生死と情、そして人生をも考える武将となってゆく。時は織田信長が明智光秀に倒れた時であった。


伊豆山での敗北から安房に逃れた頼朝は、東国の雄を招集し鎌倉を居館として強固な体制を作り天下統一に向けて着々と準備に余念がない。平家討伐は、まず木曽義仲によって果たされ、入道清盛は死して平家は西へと逃亡する。院の公卿や公家の暗躍に踊ろされ木曽義仲も潰えた。ここで物語は終わる。


金曜日, 1月 29, 2016


流人となった頼朝は、伊豆に流され蛭ケ小島に蟄居となった。伊藤祐親の娘八重との恋慕の上千鶴丸を授かった頼朝だったが、祐親が今日より戻り激怒の上幼子を殺害した。頼朝は這う這うの体で北条時政の館に。。京からの流人の僧文覚上人の智も頼朝には徐々に勇気を持ち上げさせてくれた。北条館での姫政子との恋はどうなるのか?。


水曜日, 1月 27, 2016

十三歳にて初陣となった平治の乱、平清盛を討つべく戦に臨んだが兄弟さらに親である義朝までも討たれた。頼朝は一人逃れて京の都へと。


主人公料理人澪を取り巻く人々の人情と彼女の懊悩を具に描写し、江戸風情と合わせて読み手を翻弄する何とも面白い「みおつくし料理帖」シリーズだ。いよいよ、澪は自身の料理人として生きる道を決定した。


土曜日, 1月 23, 2016

学校で虐めに会い、半ば自閉症気味の中学三年生の息子を持つ家庭である日殺人事件が起こる。息子が七歳の少女を殺害したのだ。家庭を帰り見ず仕事一筋の主人昭夫の苦悩とその妻認知症とも思える母を抱え殺人事件をでっち上げるが。家族とは何かを問う作品だ。


水曜日, 1月 20, 2016

みおつくし料理帖シリーズ。澪と芳そしてつる屋で働く面々に起こる難題を解決してゆく心根に思わず心を打たれるそんな小説だ。生きてゆく、また生きるとはを切なくも考えさせる書だ。


みおつくし料理帖シリーズだ。過去4、5冊は読んでいるだろうか?澪が働く料理屋「つる屋」を舞台に展開する。匂いも味も感じなくなった澪を苦難、助っ人料理人又次の死と、ハラハラさせるプロットは最後までページを繰らせる力がある。


火曜日, 1月 19, 2016

短編小説集だ。ライトミステリー的な設定だ。古書店主イワさんと孫の稔が絶妙な関係を描きながら事件の真相に迫るという設定だ。プロット的にはあまり面白みに欠けるが、彼ら二人を中心とした人間ドラマという印象だ。実に繊細な感情の機微が描写されていてまさに宮部ワールドだ。


土曜日, 1月 16, 2016

ある重大事故により脳を損傷した青年成瀬が辿る数奇な運命を描く物語。脳移植により完全に復帰したと思われた青年、しかし移植されたのは殺人犯京極の脳片だった。徐々に元の自分の感性と違った方向へと。苦悩する青年を通して作者は生きるとは何かを問いかける。


水曜日, 1月 13, 2016

本所七不思議と言われる命題から七つの短編を収めた本書は、著者の時代小説でありミステリーでありかつ嬉々とした文章の巧みさ性格描写の巧みさを持った、吉川英二文学賞に輝いた作品である。


月曜日, 1月 11, 2016

江戸は、家斉の町人文化が花開き人々が暮らす町で発生する殺人事件を捜査する町方定廻り同心、鵜飼伝三郎と共に捜査にする美人おゆうの活躍を描いた物語だ。おゆうこと優佳は、現代社会に住むOLだ。ふとしたことから、二百年前の江戸時代へのトンネルを見つけ出し、時空を超えタイムトンネルを通り、江戸へまた現代へと戻ることができるタイムトラベラーだ。そんなおゆうが、江戸で起きた闇薬・阿片をネタに悪だくみを企てる薬やそれを取り巻く悪人たちをお縄にするといった痛快ライトミステリーノベルだ。


金曜日, 1月 08, 2016

徳川の大名屋敷から飛び出し町方同心として柳生新陰流の名手、竜之介が活躍する物語だ。江戸町人の生活に徐々に慣れ親しみ、同心として悪を退治するといった物語だ。


木曜日, 1月 07, 2016

下巻も700ページを超える大作だ。上巻で連続誘拐殺人事件の犯人は、既に判明しているが、下巻は犯人を取り巻く遺族やら刑事やら様々な関わり合いのある人間の心理描写に充てられている。こういった作品は、ディーヴァーのミステリーみたいな面白さには欠けるが、最後までページを繰らせる迫力を持っている作品だと思う。


火曜日, 1月 05, 2016

連続誘拐殺人事件を起こしたのは、幼馴染みの二人の青年だった。とりわけその一人、栗橋浩美を巡り関わりあいのある人間との心理描写を本当に細部に渡り記述してゆく作者の筆致は絶妙だ。700ページを超す大作だが、まだ上巻だ。