日曜日, 10月 25, 2015

主人公岡田亨の周辺に起こる様々な出来事や人物を通して、読者は全く翻弄され続ける村上ワールドの世界は何故か心地よさを感じてしまう。そこに在るのは人生や悲哀や歓喜や絶望や諦念そして天国と地獄寂寥や不条理の世界だ。混沌とした世界い孤独とともに生けるオカダトオルの姿がある。日常的な非日常性と薄暗闇に蠢く悪霊との戦いその只中に生きる主人公に勝利はない。



月面調査隊が発見したミイラ宇宙服をまとった白骨死骸だった。この死骸をチャーリーと探求する科学者がニックネームを与え、チャーリーに対する科学者達の奮闘が開始される。様々な憶測と学説を取り交ぜ探求は進んで聞くのだが、決定的な理論は見つからない。地球上の人間の期限にまで遡るSFファンタジーは、非常に面白く、1977年の上梓だというが現代科学の理論をフンダンニ織り交ぜ物語は展開して行く。



お化け幽霊が出てくる話だ。孤児のおりんには、五体の幽霊・お化けが見える。包丁料理人の父親が、開店する舟やで起こるお化け騒動はホラーというより、何故かほのぼのとしておりんを通して人間の本来持っている「やさしさ」に気付かせてくれる。環境や境遇により自分と同じ運命を歩むお化けが見える。最後のページまで飽きさせない面白さがある。


木曜日, 10月 22, 2015

著者の過去読んだ作品中のガリレオ探偵とは一味違う様相だ。友人で天才とも言われた数学教師石神彼とは大学時代の同窓で、また刑事草薙も同様だ。アパートに住む隣人の母子が起こした殺人事件を回り物語は展開する。本当の真実の愛の深さを追求した作品だ。


月曜日, 10月 19, 2015

著者得意の医療分野での手術死を回る術死調査を託された愚痴外来医師田口先生と厚労省の係官白鳥調査官の二人の葛藤を織り交ぜ調査を進め、やがて思わぬ犯人を割り出すまでの医師同士はたまた大学病院の現状を描きながらそこで働く者の人間同士の触れ合い機微を巧みなタッチで描く作品だ。


今までの推理つまりミステリー小説とは全く違ったプロットを持った小説である・。ある殺人事件を題材に6人で構成する犯罪研究会なるメンバーが、それぞれ各自独自に推理するといった物語である。物証が乏しい中で、めいめいが心理的側面を細部に渡り調査し披露する。

日曜日, 10月 18, 2015

第四の殺人が高級ホテルコルテシア東京で起こるという。ホテルへ張り込み犯人を待つ警視庁の捜査員とフロントホテルマン山岸を軸に物語が展開してゆく。冗長性は否めないが、結構楽しめるプロットだったかなと思わせる。


水曜日, 10月 14, 2015

主人公、圷歩が歩いた37年間の人生の魂の遍歴を綴った物語だ。父の仕事上の都合で、中東はイランで生を受けた歩と家族そして周囲の人間の機微が繊細に描かれ、人間同士の交錯と錯綜、対立など人生に関わる全ての因子がこの書にあると思う。信じるものを見つけられず、先を進むことも儘ならず怠惰な生活をする歩が最後にかって暮したエジプトはカイロで親友と再会する、その時自身の人生の信ずるもの過去の友情とナイル河の淀みない流れをみて発見する。


全般的に読者を惹きつける展開にページを繰る手がとまらない。最終的な読後感といえば、そんなの有りかよと思えるプロットだ。あり得ない推理展開は著者独特な世界感か?


奇想天外の都市の中で仕組まれた殺人事件、これを解決すべく招聘された名探偵天下一、彼が最終的に見たものは自らが著作した本格推理小説であった。という今までにないプロットは新鮮だが。。


火曜日, 10月 06, 2015

著者が創作した名探偵、帝都大准教授の湯川先生が警視庁に協力しながら、事件を解決へと導く痛快推理ミステリー本だ。物理学者である先生が推理する魅力と言った事件解決が核心だ。


日曜日, 10月 04, 2015

あまりにも日常的すぎる日常の中で、人は空恐ろしい殺人を犯す。それは、止むに止まれぬ事情があるにせよ動機と人となりを見ると背筋が寒くなる。そんなミステリー的小説が満願であり短編集だ。面白い。

著者の銀行もの半沢シリーズだ。破綻寸前の会社帝国航空に纏わる金融庁から国会議員さらにやり手のコンサルを交えた「倍がえし」シリーズだ。痛快サラリーマン活劇みたいな気分で読み終えることができる。



プロット的には、単純だが内容は良く練られ密室あり血縁関係(横溝作品)あり、簡単には読者の推理を介入させない面白さがある。


土曜日, 10月 03, 2015

昭和九年に書かれたこの書は、探偵小説の古典的名著と言われる。まず文体は古典的でストリー事態つまりプロットはそれほど奇抜でもない。しかし随所に引用される書や人物は著者の博学多彩な才能を垣間見ることができる。衒学的で神秘的叙述、名探偵法水麟太郎の心理分析引用される数多の人物や書籍、江戸川乱歩とは違った面白さがあると思う。

空想の王国ツオル(東乎瑠)帝国とその周辺の氏族やら東乎瑠に征服されたアカファ王国の中で生きる様々な人間の抗争を描き、その中心人物のヴァンという主人公を回りミッツアルという黒狼熱という伝染病をテーマに人間生命と男の人生を様々な考察を通して物語は展開する。
生命科学とも言うべき考証を展開し疫病と戦う医師と疫病に翻弄される東乎瑠の人々を描き、生命の尊さと人生の侘しさを感ずる書物だった。
2015年本屋大賞に選出されたこの本は確かに面白いが、ミステリー度を加えたプロットが展開できたのではと思う。

長編推理小説になるのかな。輝額荘という古びた下宿屋の住人を中心に物語が展開してゆく。ある日一人の住人が死ぬ。警察は、自殺と断定したが。その後大学の建築学科の教授の秘書の女性が路上の車中で死体となって発見される。教授の過去を巡る事件が殺人の動機として浮上する。住人の桜井と栗山が追う事件の真相はという冗長だが期待して読み進められるが、結末は期待していたよりも平凡であった。



人里離れた雪深い欧風のペンションで起きる殺人事件は、密室やマザーグースの詩に秘められた暗号の解読に挑む二人の女子学生が活躍するミステリーだ。プロット的にも十分考慮されておりページを繰る勢いを削ぐことなく読める面白さが十分にある。