水曜日, 11月 07, 2012


第58回江戸川乱歩賞受賞作だと。奇抜な発想とドストエフスキーの名著の続編ミステリーとしてのこの物語は正に秀逸で、もしドストエフスキーが生きていたら納得したかもしれない。「サトリ」やディーヴァーの「007」と比較しても抜きん出て面白いし、「カラマーゾフの兄弟」から類推できる展開も見事だ。


日曜日, 11月 04, 2012


ディーヴァー最新作だ。リンカーン・ライムやキャサリン・ダンスシリーズで無く単発ものだ。過去2、3冊もそうだが、今回も上々の出来だ。ウィスコンシン州の田舎ケルシャ郡の保安官補ブリン・マッケンジーが出会う殺人事件が端緒だ。ミシェルという事件に居合わせた生き残りの女性を連れて森の中を犯人から逃れるべく逃亡する。一昼夜の出来事を400ページも割いて表現するディーヴァーの手腕は流石だ。リンカーンシリーズみたいなどんでん返しやローラコースター的な結末はないが、これはこれでほっとした気分にさせてくれる。


日曜日, 10月 28, 2012


お馴染みのリンカーン・ライムシリーズの最新作だ。ライムからアメリア・サックス、プラスキー、セリット、キャサリン・ダンス、パーカー・キンケイド等々オールキャストの出演だ。ニューヨークで起きた、電力会社の施設の電気、電力を使ったアークフラッシュと呼ばれる感電による殺人事件に端を発して次々と起こる連続感電による殺人事件を捜査する科学捜査官ライムのチームが犯人を追う。期待通りの出来栄えだと思う。2系統の殺人事件が最後に一つになり、取り逃がしたウォッチメーカーに辿り着くという予想外の展開は、ディーヴァーならではのものだ。最後には四肢麻痺患者のライムが、手術を受けるという決心をするに至る。今後の作品に期待したい。

毛沢東率いる文化大革命から小平の改革開放運動に経て現在の中国があるが、共産主義体制化での資本主義的経済の導入はそもそも砂上の楼閣だ。私的所有を認めず全て国家に帰属する社会主義体制下での経済統制は、政府と共産党で行う。資産の総額で貨幣の流通量を決定するという資本主義経済と違った統制は、経済が順調に拡大していく間は良いが、一端下降に向かい8億人とも言われる下層人民が飢えるような事態に陥った場合は、暴動が起こり政府、共産党政権は転覆の憂き目に会うだろうと。そのチャイナリスクをどうリスクヘッジするか、日本国家及び日本人の我々が問われている。


月曜日, 10月 22, 2012


幕府や朝廷の御用達として京都御三家の一家後藤家は、金細工を一手に引き受ける名門で働く庄三郎の生涯の物語である。時は信長亡き後秀吉の時代の京都を中心に金座を預かり黄金の小判を鋳造する後藤家庄三郎は俄かに戦乱の空気が漂う中家康に重用され側近として家康とともに黄金を採掘し江戸に金座を開設し小判を作る差し詰め現代でいう日本銀行で庄三郎は総裁といったところだ。大御所家康の忠勤するその生きざまはサラリーマンの見本といったところだ。


17世紀前半1628年光圀は誕生する。徳川頼房の三男として誕生し直ぐ上の兄は夭逝する。幼名を子龍として幼少年期を送るが、兄がいるにも拘わらず世子として水戸藩を継ぐことに生涯に渡り心の中の一点の曇りを抱いて生きてゆくことになる。義を重んじ義に生きる生涯は、幼少期の兄を差し置いて世子として家督を継ぐこの一点にあった。文武に長け、学者肌の光圀は史書の編纂に生涯を賭けることになる。詩や歌さらに明からの亡命者を師として様々な知識を取込み晩年は水戸の黄門様として徳川綱吉を補佐してゆく。今に残る水戸藩江戸藩邸は、小石川後楽園として存在する。

水曜日, 10月 10, 2012


16世紀半ば、舞台は上州は上野国(現群馬県)地元を舞台にした時代小説で近隣の地名があちこち出てきて楽しく、こんなにも城があったのかと驚かされた。上州西部にあった箕輪城主長野信濃守業政(なりまさ)の物語である。甲斐の武田晴信(後の信玄)に度々来襲を受けその度に知恵を尽くして箕輪城を守り抜いた武将業政の上州人としての気骨・気質は読者に清涼感を齎してくれる。



戦国時代を駆け抜けた武将である藤堂高虎の物語である。戦(いくさ)の度に槍を持ちパートタイマー戦士として働いていた高虎だったが、主君に恵まれず数度替え遂に秀吉の弟秀長に仕えることになった。秀長は算術に長け秀吉の戦の裏方として兵糧から銭までを一手に取り仕切っていた。そんな主の元で槍だけでは駄目だと悟り徐々に城造り・土木技術を身につけスペシャリストとして成長してゆく。秀吉に重用されまた晩年はゼネラリストとして家康に絶対的信頼を築く生き様は現代のサラリーマンや中小企業経営者のバイブル的な面白さがあり上下巻合わせて1500頁にも及ぶ長編時代小説ながら一気に読み通せる魅力がある。高虎が語る言葉がまた生き様は現代に生ける我々の身に迫るものがある。


日曜日, 9月 02, 2012

いよいよ、最終巻だ。江戸から明治そして大正・昭和の第二次世界大戦までの社会の歴史だ。読み進めて行く中で、明治時代が現代社会の基礎を作っているという認識だ。明治を少し読んでみようかと思う。



金曜日, 8月 31, 2012

経済学上では、欠かせないというゲーム理論を平易な説明で解説した本書は面白い。我々が生ける現代社会は、様々な人の行動や思惑が交差し互いの利害を決定する環境を戦略的環境という。この戦略的環境下で生活していることを認識し合理的に行動すべく意思決定することが、つまり戦略的思考であり、様々な意思決定の結果を分析することを戦略的分析と呼ぶと著者は言う。この分析や思考の中でのキーワードとして、著者はまず「インセンティブ」を挙げる。個人がある行動を起こす時、何らかの理由があるがその理由がインセンティブだと。次にコミット(確約)やその内容としてのコミットメントや、シグナリングさらにモラル・ハザードと戦略的思考に欠かせないこれら用語を身の回りの例を揚げなら解説して非常に興味深く読んだ。

月曜日, 8月 20, 2012

10世紀から14世紀前半の歴史だ。地方豪族が組織化され、京都を中心とする天皇と鎌倉幕府の対立と目まぐるしくダイナミックに変遷する歴史は面白い。13世紀末には、貨幣経済も発達して行く。こうした中、仏教や京都を中心として職人が組織され様々な技巧が発達し現在まで至っている。



日曜日, 8月 19, 2012

20世紀の歴史の中で、各国の思惑とりわけ西欧列強とロシア・アメリカの世界戦略の根底として地政学(ジオポリティクス)が果たした役割は大きいという。特に第二次世界大戦におけるナチスドイツ・日本帝国主義の地政学的思想の欠如が敗戦を招いたとも。シーパワーに対しての洞察が無かった。しかして今日時代は進み、宇宙を巻き込んだレベルでの地政学が求められる。ハウスホーファー、マッキンダ―理論はもはや古典的になった感がある。



ジェフリー・ディーヴァー著「007 白紙委任状」を読んで。

暫く、ブログを更新することがなかった。だだし読書は電車の中、ホテル等でしていた。J・ディーヴァーによるリメイク版007だ。少し冗長な感は否めない。ハラハラドキドキ感は最後にやってくる。やはり、ディーヴァー著者のローラーコースター的展開はいつ読んでも面白い。



木曜日, 5月 10, 2012


三浦しをん著「舟を編む」を読んで。
玄武書房に勤務する青年馬締を中心に国語辞典「大渡海」を編纂する物語だ。2012年本屋大賞受賞作品である。辞典編纂を通して「言葉」が人と人を繋ぎ、辞書作りに人生を賭ける人々の何とも温かな小説だ。

火曜日, 5月 08, 2012


宮沢やすみ監修「京都とっておき和菓子散歩」を読んで。
和菓子好きが高じて、遂に京都へと。あまた老舗の和菓子、京都を訪れる度に立ち寄り買う。先月末は、二条駿河屋さんに立ち寄り秀吉が褒めたといわれる羊羹は薄紅色したしっかりした食感で甘さは控え目だった。また松露はお茶受けだそうで半生菓子で小さなキノコの形をしていて中に餡が入っている。表題の書は、老舗の和菓子を求めての散歩をその歴史とともに紹介している。

水曜日, 4月 18, 2012


網野善彦著「日本社会の歴史」上巻を読んで。
古代より9世紀、平安初期までの日本社会の歴史だ。中学での教科書で学習した歴史と大きく異なる点に気付く。国家が形成される以前から中国大陸と朝鮮半島との倭の国としての日本が頻繁に交流を続けていたという歴史的事実である。関西を中心にさらに東北地方を巻き込み国家の形成が進展し9世紀には仮名文字も生まれ京都は本格的に都市化し仏教も広く普及する。



柏井壽著「極みの京都」を読んで。
京都を極めるとは、普段着の京都を訪ねることだという著者の京都入門の書だ。名所旧跡から宿、食とこの書を片手に京都を散策したい気分にしてくれる。御所に出入りする菓子匠が、東京に移転とともに京都の茶の菓子へ多くは転身した。そんな京菓子のルーツと現在の四季折々の京都の和菓子を訪ね歩きたいと思う。


日曜日, 3月 25, 2012


トレヴェニアン著「シブミ」下巻を読んで。
ケービングを趣味とするヘルの地底深く探検する様子が詳しく描写される。アラブの石油組織そして米国CIAも傘化に置く殺人組織マザー・カンパニーの追っ手が、ヘルに近づく。後半は、最後まで一気に読ませる迫力がある。著者は言う「賢明な人間は自分の望み自分の持ち物のレベルまで下げることによってバランスを保つ」とは蓋し名言だ。

トレヴェニアン著「シブミ」上巻を読んで。
書名にまず魅かれる。ウィンズロウ「サトリ」の原作が本書だ。ニコライ・ヘルの成長過程が上巻で記される。娼婦の元で生を受けたヘルは、日本軍上海部長の岸川大佐に回りあい「碁」を学ぶ、戦争で中国での日本軍の形成が悪化の一途を辿り、遂にヘルは岸川将軍の勧めで日本へと、碁士大竹七段の元へ日本での生活が始まる。戦前戦後を通して日本人の生活描写が良く表現されていて、ヘルが日本的なシブミへと到達すべく人生の目標設定がなされるまでが本書上巻である。

月曜日, 3月 19, 2012



梅原猛著「京都発見」(一)地霊地魂を読んで。
京都発見と題名の本書は、京都の案内書であるが観光案内とは異なり平安時代に数々の寺院が建立されその寺院を訪れ歴史的時代拝見を記した高度な京都案内書である。仏教の隆盛と相まって様々な寺院が建立され、その中に座す仏像そして仏師にも思いをはせ歴史的あるいは文学的に紹介している本書は読みごたえがありまた挿入されている写真も素晴らしい、京都を旅する時に参考にしたい一冊であると思う。



日曜日, 3月 11, 2012


マイクル・コナリー著「真鍮の評決」下巻を読んで。
事務所をリンカーン車に置くマイクル・ハラー弁護士によるミステリーは、いよいよ弁護活動の終末を迎え、新たな犯人像が浮かび上がるFBIボッシュ刑事との連携により遂に判事に辿り着く、予想外の結末だ。米国での裁判の陪審員は、日本の先ごろ始まった裁判員裁判との関連を考えると面白い。

水曜日, 3月 07, 2012


マイクル・コナリー著「真鍮の評決」上巻を読んで。
マイクル・ハラー弁護士によるミステリーだ。著者はミステリー界の大御所だが、初めて読む。友人のジェリー弁護士が死亡し、後釜として指名されたハラーが裁判に臨む。妻とその愛人2人の殺害容疑で起訴されたエリオットを回り、ハラーのチームが活躍を始めるまでが、この巻だ。

なかむらるみ著「おじさん図鑑」を読んで。
様々な世のオジサンたちの姿態を観察し図鑑に纏めた本である。イラストレーターである著者の本領発揮か。内容は良くあるオジサン達が良く観察されていてコメントも面白い。何故かこの本は文字サイズが小さくて、オジサンには読みにくい。

岩波邦明著「2ケタ×2ケタの暗算」を読んで。
TVでも紹介された2ケタ暗算が6時間でできるという本である。例のお魚プレートを使った暗算手法は斬新的でアイデアに富んでいる。後半のスペシャルプレートとなると少し無理があるように思える。いずれにしてもインド式の算数を日本で実現させる画期的な手法だと思う。

木曜日, 2月 23, 2012


著者の作品は、リンカーン・ライムシリーズは、全て読んでいると思う。今回手に取ったのは、パーカー・キンケイド文書検査士として活躍するシリーズだ。ディーヴァーのプロットを含め、期待に違わない迫真のミステリーは、ヘニング・マンケルと比較しても圧倒的である。ローラコースター的結末はさらに興味深く期待に違わない、これぞディーヴァーだと思わせる内容だ。何故か彼の著作の安心感と期待感の入り混じりつつ読破するのは私だけであろうか?。

月曜日, 2月 20, 2012


スウェーデンの小都市イースタ署の刑事ヴァランダーは、長期休暇中だ。燃え尽き症候群でもないが、刑事を辞職する決意をして署に向かうが、殺人事件が発生する弁護士トーステンソン親子の殺害に遭遇する。しかも休暇中息子のステンより親父の死に疑問を持ちヴァランダーは相談を受けた経緯があった。刑事として情熱が再燃し捜査にあたる刑事は自分の感を信じながら多国籍企業の頭首ハーデルベリに挑む。

火曜日, 2月 14, 2012


平安初期の僧、空海について世に知られる「弘法大師」の思想について著した書である。その代表的三部作を中心に空海の思想を解り易く解説したというが、かなり難解である。大日如来を中心にした世界観というか空海の哲学は他宗派を批判しながらも、生き生きと人生観を感じ空海の広大な世界についてもっと知りたいと思う。

月曜日, 2月 13, 2012


人生の60の還暦を過ぎまさに頂上から下り坂つまり下山途中である。著者は戦後平譲からの引揚者で80にならんとするやはり下山者だ。頂上からの下山は少し余裕ができ高山に咲く花を愛で雲の流れを見る余裕が生まれ、その昔を回顧しノスタルジーに浸り至福の時を過ごせるのが下山者だと。

土曜日, 2月 11, 2012

イースタ署刑事ヴァランダーの必死の追跡捜査にも関わらず、4人を斧での惨殺頭皮を剥がすという凄惨な殺人を繰り返す犯人の行方そして殺された被害者相互の関連は不明のままだ。しかし最後の盗品売買をしていた被害者の家族を尋問し刑事の胸にある疑念が浮かぶ。14歳の少年の犯罪という屈折した親子関係は少年を変え殺人者として成長させる。多くのスウェーデン警察の刑事の登場と複数の殺人事件を絡ませたプロットは、最後に結実し読者をこれ程までに楽しませる警察小説は珍しい。



火曜日, 2月 07, 2012

著者のこの『サトリ」なるミステリーに「シブミ」という原作があり原作を踏襲した形で書くといった面白い企画だ。上巻で様々な登場人物が、また様々なプロットが、一つになって展開し読者を飽きさせない。「犬の力」同様ウィンズローの傑作に値する出来だ。



月曜日, 2月 06, 2012


ヴァランダー刑事の管轄イースタ署管内で元法務大臣の他殺体が発見される。斧で頭を真っ二つに割られ頭の皮が剥ぎ取られるという凄惨な殺人事件だ。さらに2、3人目の同様な事件が発生する。菜の花畑でガソリンで焼身自殺した少女の謎を含めて展開が楽しみだ。

著者の著作は30年も前に読んだ記憶があるが定かでない。久しぶりに禅についての書を読んだが、難解である。究極的に自己を見つめ、全てを剥ぎ取り無垢の心を持って日常生活を送るのが禅的日常であるように理解する。あらゆる慾から解放され自己そのままを実現するのがサトリなのかも知れない。

金曜日, 2月 03, 2012


長年著者は、山口組を取材してきたルポライターだと。日本の暴力団からアメリカ、中国、台湾、イタリア、イギリスと世界の犯罪組織集団の情報まで載っている。また暴力団とは違う東京の繁華街で行動する「半グレ集団」にもスポットを当て、暴力団の行く末を暗示させる。著者は暴力団は「絶滅危惧種」だという。

木曜日, 2月 02, 2012


1950年初頭毛沢東による文化大革命直後の中国は北京が舞台だ。米中関係を懸念する米国側と中国の反体制派による体制派の将軍の暗殺計画が主題だ。米国側に捕虜となった主人公ニコライ・ヘルはスパイとして訓練を受け先に述べた暗殺計画として中国に送り込まれる。ターゲットの将軍に暗殺計画を見透かされ体制派に連行され拷問を受けるが、危うく脱出に成功し将軍を殺害する。だが米国は彼ニコライを殺害しようと企てる。最後まで読ませるサスペンスはさすがだ。

金曜日, 1月 27, 2012

ヴァランダー刑事の必死の捜査により、いよいよ犯人を追いつめ遂に郵便配達代理人のオーケ・ラースタムに行き着く。8人を殺害し、9番目はヴァランダーであった。このミステリーの根底にあるスウェーデン社会の病理、1997年の著作であるが既にこの時社会の病理を突き、最近あった銃の乱射事件による十数人の若者の死という現実は、著者の警告であったのであろうか。パターン化しない、意味を持たない、理由のない、不条理な殺人こそ現代社会が抱える闇だ。



日曜日, 1月 22, 2012


スウェーデンの作家によるミステリーは、「ミネニアム」に続く2冊目だ。ヴァランダー刑事が活躍するミステリーだがかなり読み応えのある長編小説だ。3人の若者が自然保護地区の公園でパーティを開きその場で殺害され、さらに同僚の刑事スベードヴェリもまた殺害される。事件は次から次へと展開し事態は悪化し捜査班は右往左往し行き詰まる状況だ。ヴァランダー刑事の必死の捜査にもかかわらず、さらに犠牲者が増えてゆく。

著者の書は「ゴールデンスランパー」に次ぐ2冊目だ。大学生4人が繰り広げる東北は仙台が舞台の日常の中で起こりうる事件を主題に登場人物の心理描写を中心にしたミステリとはちょっと違う面白さがある。

木曜日, 1月 19, 2012


「ジェノサイド」に続く、日本人作家の意外なファンタジーを織り交ぜたミステリーで秀逸だ。ロンドンから少し離れ北海に面して浮かぶソロン島が舞台だ。島を統治するエイルウィン家の頭首が何者かに殺戮される。12世紀の雰囲気が随所に感じられ、面白い。魔術を使う暗殺騎士団デーン人の襲来と戦うソロン島を守る騎士団、変遷騎士としてエイルウィン家に雇われる個性溢れる戦士達との壮絶な戦いは、読んでいて情景が鮮やかに浮かぶ。最後まで頭首を殺戮した犯人が解らないというプロットも上手い。

日曜日, 1月 15, 2012

著者は、ミュンヘン生まれの高名な弁護士で扱った事件について「犯罪」として小説として纏めた感がある。短編集ながら特異な事件を扱ったミステリーは面白く一気読みといった本であった。



土曜日, 1月 14, 2012

以前写楽は誰だったか?を小説にした書を読んだが、本書は美術史家、研究者の写楽=北斎節を唱える学者のものである。近年斎藤十郎兵衛が、写楽だとする説が跋扈していることに警鐘を鳴らす著者の怒りの書である。矛先はNHKの番組批評から登場する学者まで一蓮托生として批判する。世界に冠たる日本の絵画としての写楽絵の研究が進み。写楽が誰だったか?が解明される時が来るかもしれない。いずれにしても興味が尽きない題材だ。



水曜日, 1月 11, 2012

米国は地方都市の刑事カーソンが、ある日上司よりニューヨーク市警に行く命令が下る。そこで待っていたのは、サイコ的連続殺人事件だ。女性をターゲットに無残な殺戮者犯人の捜査だ。理論的計算されたプロットは、J・ディーヴァーとは違った魅力を持った作家だ。登場人物そして複雑に交錯する物語の展開とスリルはまさにこれぞミステリーだと思う作品だ。



日曜日, 1月 01, 2012

松村寧雄著「マンダラ思考で夢は必ずかなう!」を読んで。

昨年暮れ「MANDART」に出会ったが、その開発した著者の手帳についてつまりマンダラ手帳の進めを書いた本である。やはりマンダラとは仏教でいう曼荼羅であった。3×3の9マス思考の中心にあるのは、密教の曼荼羅絵図と同様なものであった。著者は仏教の考え方や世界観・宇宙観を持って思考し、人生を豊かにすることができないかを考えマンダラートを考案したようだ。この曼荼羅の思考は、発想や情報の整理に役立つと思うが取り分け発想の整理という意味で自分にとって有意義だと思う。

D・Mディヴァイン著「三本の緑の小壜」を読んで。

英国人ミステリー作家である著者の書は初めてだ。英国の田舎町で連続殺人事件が発生する。登場人物の心理描写を中心に事件を追う青年医師、医師を取り巻く人物をもその心理描写は細かい。最終頁まで、読者を導くプロットはそれなりだが、少し退屈気味になる。そして結末は、あっけなく幕を閉じる。2012本格ミステリーベスト第一位と言われた本書は、私の中では今一の感が否めない。