木曜日, 12月 29, 2011

東川篤哉著「謎解きはディナーのあとで」を読んで。

2011年本屋大賞第1位ということで、店頭で手に取った。ジーヴスを思い起こさせる有能な執事影山と現職国立署の警部である宝生麗子そして署の上司である風祭警部と登場人物こそ少ないものの、プロットの面白さや気軽さが丁度良い加減だ。こんなミステリを書ける著者がいたんだと思う。

加籐昌治著「考具」を読んで。

大手広告代理店に勤務の経験がある著者は、毎日がアイデアとの格闘。そんな経験を「考具」としてつまり考えアイデアを出し続けるツールを紹介した本書は、興味深くこの書の中で、マンダラートに出会えた。3×3の9マスから連鎖してアイデア書き込みするツールは、全てのテーマの発想を支える重要なツールとして使えそうだ。かつiPAD用にアプリが購入できるのも嬉しい。

月曜日, 11月 21, 2011

W・アイザックストーン著「スティーブ・ジョブズ」Ⅰ巻を読んで。

波乱万丈の人生の一語はこのジョブズの為にあるのか?と思える。ガレージからアップル社創設アップルコンピュータからマックを作りその後追放を受けNeXT社創立へさらにアニメーション作成会社ピクサーでのトイストーリーの爆発的ヒットと新しいものを創造する情熱は、自分の人生がそれほど永くないと感じていたからかもしれない。ジョブズの人生は、養子となった境遇がトラウマとなり彼の駆け抜けた人生の背後に常にあった。しかし養父ポールとのガレージでの自動車の部品を買い集め中古車を解体組み立てする作業は、後年ジョブズにかなりの影響を与えたと思える。彼は後年離婚した妻がかたったように一種の精神障害者だったようだ。伝記を読むと感情の起伏が激しく陶酔・倒錯を繰り返し新しいものの創造へと突き進む非凡な才能はまさに天才児ジョブズそのものだ。若いころヒッピーから日本の仏教禅との出会いインドを旅行したりした。禅に傾倒しそこから単純で美しいもの魅せられた東洋思想は、ジョブズの一貫した物つくりに生かされている。シンプルで美しいMacやiPHONE,、iPOD、iPADを生み今私たちがそれらを使える。

月曜日, 11月 07, 2011

P・Gウッドハウス「ジーヴスと恋の季節」を読んで。

ウッドハウスのジーヴスシリーズは、過去3冊読んでいる。今回は、4冊目の「恋の季節」だ。展開は複雑だが、相変わらずジーヴスの軽快な頭脳は健在だ。ユーモア小説の再高峰とされるウッドハウスが1940年代後半つまり戦後著した由。英米国ともに、ウッドハウス協会なるものがあるとは面白い。

水曜日, 10月 26, 2011

猪木武徳著「戦後世界経済史」を読んで。

1900年代を中心とした世界各国の経済史だ。米欧からアジア、ロシア、アフリカと実に幅広く書かれている。資本主義の発展の過程やら社会主義経済の行き詰まり過程、経済と政治等々。巻末の参考文献を見ただけでも納得できる範囲の広さにはただ驚嘆するばかりだ。新書本にしては、読み応えたっぷりの書だ。

月曜日, 10月 10, 2011

ジャック・アタリ著「21世紀の歴史」を読んで。

歴史の推移を都市を中心として分析するというブルージュ、ヴェネツィアからロスアンジェルスまで9つの都市の変遷による分析は新しく衝撃的だ。著者はフランス大統領補佐官として活躍しまた現在もサルコジ政権にも深く関わっているという。哲学者、社会学者、文学者とその多才な才能は世界が認める。2006年本書が出版され、既に幾多の世界の象徴的出来事を予測するというまさに未来学者だ。21世紀この混沌とした世界の歴史を予測する事は非常に困難だ、著者は本書で我が日本についても分析している。労働人口の急速な減少、増加する債務、北朝鮮の核弾頭の脅威、中国の軍備の増強、韓国の経済的台頭と2025年日本の経済力は世界5位からも転落しかねないという辛辣なものだ。貧困、暴力、テロ、宗教対立、資源を巡る戦争と絶望に向かって進む世界は、果たして救われるのだろうか?アタリは、利他主義を実践するトランスヒューマンこそ世界を救うと考えている。マイクロソフトゲイツ会長とその妻の財団や、著者もそであるが、バングラデシュのマイクロファイナンスを実践するユヌス氏ら21世紀の世界は決して諦めたものでもないと。
 

水曜日, 10月 05, 2011

フリーマントル著「消されかけた男」を読んで。

エスピオナージュと呼ばれる推理小説の分野つまり007に代表されるスパイ物推理小説だ。主人公チャーリーは英国情報部員だ。功績を揚げたにも拘わらず評価されずにいるウダツのあがらない地位に甘んじた生活を送っている。旧ソ連KGBの大物幹部が西側への亡命という話が持ち上がり、米国CIAと共同で亡命を成功させるべく画策するが、この機会に乗じてチャーリーはまんまと逆転攻勢を仕掛け成功し5万ドルもの大金を手中にし余生を妻とともに・・・。何故か仄々とするスパイ小説だ。

月曜日, 9月 26, 2011

「筑波大学博士が考えたゴルフ理論」を読んで。

コンバインドゴルフ理論というこのゴルフ理論は、段階的にスウィングをチェックできるというものだ。組み合わせた体の動き、それは腕の上下垂直動作つまりバックスウィングからトップへさらにダウンへの動きで、次に体の捻転という基本的な動きを組み合わせるのがコンバインドだと。実際にボールを打ってみると垂直から捻転の微妙な速さの一致が難しい。さて現場での成果は如何に?

土曜日, 9月 17, 2011

斎藤孝著「コミュニケーション力」を読んで。

コミュニケーション力を向上させる様々な方法論を展開させる。メモを取る事からグループでの討論や会議でのコミュニケーション力を向上させる方法と凡ゆる方法を通して、人間が生きてゆく上で必要な基本的な能力つまり話す、聞くを様々な角度から考察していく。コミュニケーション力とは、生命の源流で、人は感情や意思を他と交流させることで人であり続けられる。そしてどんな状態でも、どんな相手とでも、コミュニケーションは可能だと。

月曜日, 9月 05, 2011

高野和明著「6時間後に君は死ぬ」を読んで。

原田美緒が生活の中で起こる人間関係、希望や絶望感を山葉圭史なる大学院生が持つ既視感(デジャ・ビュ)つまり近未来のビジョンを見ることができる超心理学の分野その能力で持って美緒の近未来を透視する。果たして、その運命を変えることができるのか?この本は江戸川乱歩的雰囲気を持つ。

土曜日, 9月 03, 2011

ハリー・クレッシング著「料理人」を読んで。

とある田舎町想像するに英国の田舎町コブに一人の男が、自転車でやって来た。そこの巨大に聳える古い城プロミネンス城だ。その男コンラッドが、田舎町を二分する一方のハル家の料理人となった。コンラッドが料理を通して、ハル家敵対するヴェイル家さらにコブの町からシティーまでを牛耳ってしまうという物語だ。人間の食に対する飽くなき欲をこうも見事に描き物語としても面白い。

池上彰著「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」を読んで

毎度テレビでお馴染みの著者の作品を読むのは、今回初めてである。世界には、様々な宗教がある。宗教間の対立による戦争、宗教弾圧と歴史が示す宗教とは、また現代の私達にとって宗教とは?キリスト教、仏教、イスラム教、多神教と対談形式で素朴な疑問を識者に問う。最終章で養老孟司氏との対談で、氏は「結局死を考えることは、どう生きるか」に繋がると。

金曜日, 8月 26, 2011

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」を読んで。

著者の作品は、2冊目だ。「グラスホッパー」は、面白かった。今度の「ゴールデンスランバー」は、文庫本で600ページを超える長編だ。冗長さはあるものの、読者をして最後のページまで繰る不思議な魅力がある。東北は仙台市街地で、日本の首相がラジコンヘリに仕掛けられた爆弾で死亡し、犯人として追われる青年が、警察から市街地を逃げ回る設定だ。

水曜日, 8月 17, 2011

ジェイソン・グッドウィン著「インスタンブールの群狼」を読んで。

内容はまあまあだが、兎に角読みづらい和訳でまいった、その上600ページにのぼる長編だ。内容は19世紀の初頭のトルコはイスタンブール市街に於ける新旧勢力の争いの中で発生する殺人事件を追って主人公ヤシムが活躍するミステリーだ。そういえばトルコに旅行に行った友達が聞いたことがあるが、非常に日本人に対して親切で優遇されると。1890年明治政府の元へ派遣された軍艦が沈没しその際親切に対応した山田寅次郎なる茶道の家元が面倒みたことを感謝するトルコ国民の歴史的背景があるとは気付かなかった。
西欧とアジアの接点として歴史的都市としてのイスタンブールを一度は訪問してみたい。

夏川草介著「神様のカルテ」を読んで。

信州は松本市の本庄病院に勤務する医師である栗本一止が主人公だ。栗本とその妻有名なな写真家とアパートい住む友人達とのエピソードを交え物語は展開してゆく。この本の中で現代の医師なかんずく終末医療に立ち向かう医師の心温まるエピソートには感涙だ。こんな医師がいてくれたらと思う。

火曜日, 8月 09, 2011

高野和明著「ジェノサイド」を読んで。

近くの書店で手に取ったこの本は、590ページにも及ぶ長編推理小説である。読み進めていくうちに、内容の豊富さと面白さからページを繰る手が止まらなくなった。スケールの大きさといい、プロットの出来、サスペンスを超えた人類愛と平和さらに善と悪をテーマにした傑出した小説だ。こんな面白いものが、日本人に書けるのかと問うくらい個人的に上半期ベスト1お勧め度★★★★★だ。

月曜日, 8月 01, 2011

クリスティン・ゴフ著「違いのわかる渡り鳥」を読んだ。

バードウォッチング・ミステリーシリーズの第二弾女主人公でホテル経営者のラークが、バードウォッチングの最中に友人の殺人を望遠鏡で確認する。カフェを共同経営者のエスターが殺害された。このミステリーに登場する野鳥の数々とバードウォッチングそしてコーヒー豆の輸入先メキシコの栽培農家の窮状と幅広い視点で自然保護を随所に鏤めながら物語は展開し最終章まで殺人犯が、解らないと言った面白さがある。

金曜日, 7月 29, 2011

秦野るり子著「バチカン」を読んで。

世界最小の独立国家「バチカン市国」は、カトリックの天王山ローマ教皇(法王)により全世界のカトリックの教会・団体を束ねる。人口は600人にも満たないが、教皇を国家元首として国旗・国歌・コイン・切手を持つ。著者は記者であるが、バチカンの歴史から現代のバチカンが抱える諸問題まで解りやすく解説して、バチカンを訪問してみたいという気にさせる解説本だ。

水曜日, 7月 27, 2011

ミネット・ウォルターズ著「女彫刻家」を読んで。

舞台は、ロンドンの郊外サウサンプトン、マーティン家で起きた惨殺事件について本を書こうとする主人公ロザリンド・リーは、弁護士である。オリーブが、母と妹を惨殺する。自白を元に逮捕服役中の彼女に接見しながら状況の調査に乗り出し、結果オリーブが犯人でないと確信を得る。サイコ調でもなくロマンスミステリーでもなく、適当に楽しめる推理小説だ。

水曜日, 7月 06, 2011

マーク・ピーターセン著「日本人の英語」を読んで。

前置詞や不定冠詞と単数と複数、時制、完了形、受動態とどれも日本人が英語を書くときに迷うつまり使い方が解らない英文法の問題である。著者は日本文学を研究し日本に住むネイティブアメリカン、大学教授である。この本で本当に目から鱗的衝撃でした。英語での論理的思考から英文法を説明という経験したことのない体験をした次第だ。

日曜日, 6月 26, 2011

ライフ・エキスパート編「頭がいいゴルファー悪いゴルファー」を読んで。

ゴルフに対する蘊蓄が随所に書かれ、身につまされる。本書は、初心者の時、読みたかったと思う。30年もゴルフ歴がある私が読んでも、ゴルファーの心理は、あるいはコースマネージメントをできないモドカシサがある。つまり、1番ティーに立ってもゴルフの頭になかなかなれないというのが、モドカシサだ。ゴルフは難しい、アマチュアにとってもプロにとっても完成つまり到達点というものがない。ある建築家デザイナーが、ゴルフは美だという裏にはこのようなものがあるのであろうか。

櫻井よしこ著「異形の大国 中国」読んで。

巨大中華帝国の野望を目論む中国は、海洋及び宇宙軍事大国へと急速に軍事力を拡大し制海及び制空権を握ろうと共産党一党独裁政権下で軍事費を拡大し続けている。2008年に出版された本書は、現状を再認識させる事件が今現在も起きている。東シナ海における領海を巡るベトナムとの緊張、尖閣諸島沖の海底油田開発を巡る日本との緊張と枚挙にことかかない。日本人の歴史と文化を守り、戦略的防衛を基軸に外交政治また国内では憲法九条の改正へと著者は進言する。

水曜日, 6月 15, 2011

薮中三十二著「国家の命運」を読んで。

著者の記憶は、小泉首相が北朝鮮訪問の際の外務省での交渉役のため、成田空港から出発する姿をテレビのニュース番組で拝見したことによる。外交交渉の裏側の担当者の苦悩がわかり面白く読んだ。地政学的にも日本を取り巻く北はロシアそして日本海での韓国、南シナ海での中国と領海を巡る交渉も興味深い。問題山積の中でも少子高齢化は深刻で、この現状を打破する提言として、外国人の大幅な受け入れを説く。

日曜日, 6月 05, 2011

渡部昇一著「知的余生の方法」を読んで。

幅広いジャンルから、知的余生を送る或いは死を迎える準備をする方法を提案していて面白く読んだ。60歳を過ぎると仏教を始めとする宗教関係に興味を持つ、これは自然な成り行きらしいい。著者も言うように「この先の人生、そしてまたその先にある死を、見据えて生きていかざるを得ないのがシニアの世代だ。」。シニア世代の友達つきあいについて、面白い記述があった。3つの条件があるという1つは思想及び信条が違うと駄目だ。2つめは、やはり経済的に同じレベルに無ければ駄目だ。3つめは、知的レベルがあまりのも違うと駄目だ。シニア世代の友達付き合いはやはり難しいと自分でも思う。

月曜日, 5月 23, 2011

藻谷浩介著「デフレの正体」を読んで。

著者の講演記録を1冊に纏めた新書版だ。デフレスパイラルからの脱却を何度TVで経済の専門家が景気浮揚に伴う税収の増加による解決を唱えたのを聞いたことか。著者によるとその根源は、生産年齢の減少と急激にすすむ団塊世代の高齢化にあると。また高付加価値を生む産業は、ロボットが作り出す自動車産業ではなくて、サービス産業であると中でも観光客誘致は費用対効果の面からも高付加価値を生む社会に大きく還元効果が期待できると説く。女性の現在45%の就業率を上げ、観光客を誘致し後期高齢者の富裕層からは生前贈与など税制で若者への資金譲渡の推進、世代間の相互福祉などアイデアが様々だがかなり実現可能なビジョンではないかと思うが。

水曜日, 5月 18, 2011

中嶋茂夫著「iPhone+ipad×Googleでビジネスを加速する方法」を読んで。

2月下旬から3月上旬にマレーシアはコタキナバルへ旅行に行ったが、羽田でモバイルルーターを借りた。勿論iPad+iPhoneを持っていく為だ。現地では快適にiPad+iPhoneが使用できた。レストランの検索から、地図での場所・距離の確認等に重宝した次第だ。本書は、パソコンからiPhone+iPadをGoogleと如何に連携しビジネスに応用するかを書いているが、初心者には難しい内容かも知れない。クラウドの雄Googleの提供するAPPSを使えば通常ビジネスに困ることは無い。しかし、出張時にノートPCそしてDocomo携帯、iPhone+iPadそしてモバイルルーターと持ち歩くのは、正直難儀だ。

火曜日, 5月 17, 2011

J・C・コリンズ著「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」を読んで。

前回に引き続き2作目を読破、2001年に紹介されたこの書は少しも陳腐化されてなく企業の飛躍の核心を見事に抉り出していると思われる。平凡な企業、あるいは倒産の危機的状況、敵対的買収の脅威から飛躍を遂げた企業の原動力とは何か?選別した実際に飛躍した企業とならなかった比較対象企業との差は何なのか?そこにあったのは単純なもっとも基本的なものを情熱を持って数年あるいは数十年の小さな努力の結果であったという単純な理由であった。しかし重要なのは、三つの円が交差する部分を外さない曲げない執拗な努力であると、1つの円は情熱を持って取り組めるかの円、2つめは経済的原動力になるかの円、3つめは自社が世界一になれる部分かの円この円が交差する事業部門を徹底的に議論しその範囲から逸脱しまい経営戦略を長期に渡り継続する努力が、偉大な飛躍となって結果を齎すという。

火曜日, 5月 10, 2011

ジェームス・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著「ビジョナリーカンパニー」を読んで。

まず、この書でいうところの「ジジョナリーカンパニー」の定義はというと、ビジョンを持っている企業、未来志向の企業、先見的企業だと。この書で過去から現在に至るビジョナリーカンパニーを取り上げ、その企業の分野での対抗する企業との比較を試みている。IBM、SONY、HP、P&Gなどの所謂優良企業をビジョナリーカンパニーとし分析を試みている。共通しているのは、確固たる基本理念(基本的価値観+目的)を掲げているということだ。カリスマ的創業者でなく、血と汗によって実証され数十年あるいは百年たってもなお生き続ける会社という組織の理念と定義する。基本理念同様もう一つ重要な概念がBHAG(ビーハグ)と呼ぶ、単なる目標でなく大胆な社運を賭けた目標が設定されているかどうかだと。
いずれにしても、人間はあるいは従業員は業務上の自主性を要求しながら、同時に自分たちの関係している組織が、何かの目的を持って前進するよう求めていると著者は結んでいる。

日曜日, 5月 08, 2011

ドストエフスキー著「カラマーゾフの兄弟」下巻を読んで。

2月下旬以来、「急性白内障」ということで本が全く読めなくなってしまいました。白内障とは、良く言ったもので、全て目に映る映像が白く靄の中に霞んでみえる。パソコンの画面を拡大文字にして読むのが精一杯だ。まして本など全く読む意欲が無くなってしまう。そんな訳で、途中で表題の小説についても放棄し、4月下旬手術後本日読破した次第。ドミートリーは、父親殺しの罪で敗訴、弟イワンは病気で床に伏した。アレクセイは、少年の葬儀に出席し帰途、仲間の少年たちに語った言葉は作者の未来への希望と思想の根底にあるものではないかと思う。

月曜日, 3月 07, 2011

コタキナバルへ

マレーシア領ボルネオ島の北西に位置するサバ州の州都であるコタキナバル(KK)は、タクシーの運ちゃんに聴いたところ人口は、20万人だという。3年前に訪問した時と違い空港は拡張され随分ときれいになっていた。相変わらず4000mを超えるキナバル山はその雄姿を見せていた。今回もステラハーバーホテル(マジェランステラ)に宿泊、何故ここかというとホテル併設のゴルフ場が予約を取りやすく、料金も宿泊者は安い。日本円でキャディー・カート込みで9千円ほど。ゴルフの他に観光といえば、サピ島へ船で30分くらいの浜辺でBBQで昼食、ホテルからタクシーで街中まで15分足らず、12RM(リンギット)で約350円ほどだ。4回目となった今回は、和食ということでハイアットの1Fの和食の店で、熱燗を飲む。まあまあといったところ。他には、ブラスモンキーカフェアンドバーで、ステーキにロブスターを。このロブスターが絶品だ。4人で15000円ほど。日本から見れば、相当安い。羽田からの深夜便ビジネスクラスで、翌朝現地へ朝6時到着、近くて便利でリゾート気分を満喫できる私のお気に入りの場所だ。

水曜日, 2月 09, 2011

ドストエフスキー 著「カラマーゾフの兄弟」中巻を読んで。

第二部の後半から第三部の始めにかけてが中巻だ。ゾシマ長老が、遂に旅だった。皆が期待した奇跡は、起こらないばかりか長老の遺体は腐臭を放ち、人々を限りなく落胆させるに至った。そして、ミーシャは、恋慕するグルーシェニカを巡り対立する親父ヒョードルを手に掛けた。ミーシャの殺人に至る心理描写は、「罪と罰」でも展開された迫力あるのだ。この巻で、兄弟3人の性格がほぼ判ることになる。無神論主義者のイワン、神を至上とするアリョーシャそして、自己の欲のために殺人まで犯すミーシャと三人三様の結末は如何に?

水曜日, 1月 19, 2011

奥泉光著「シューマンの指」を読んで。

元来ジャズ派の私にとって、クラシックしかもシューマンというのは新鮮でこれがミステリーとして、どのように係わってくるのか期待を込めて読み進めた。シューマンに傾倒する永峰修人なる天才ピアニストを巡る回想形式で進む。ある日の夜ふとしたことから学校の音楽室に立ち寄り修人のピアノを聴く、そして殺人事件に出会す岡沢美枝子なる女子高校生の遺体がプールに浮かんだ。殺人を巡るプロットが可成り遠回りな感があり、最後になって急速な展開に発展する。つまり「どんでん返し」だ。中間章での盛り上がりが欲しいところだ。しかし私には著者の文体は好きだ。

水曜日, 1月 12, 2011

ドストエフスキー著「カラマーゾフの兄弟」上巻を読んで.

文庫本で1500ページを超える大作である。上巻は、ロシアの片田舎に住むヒョードルと3人の息子の紹介だ。主人公アリョーシャは、この地の修道院のゾシマ長老を尊敬する。見習い僧である。やはり、テーマは「神」についてだと思う。二男イワンは、現実主義者で無神論者である。後半部分でモスクワに帰るというイワンが作った叙事詩について弟とアリョーシャと語る部分は、キリストの絶対神として人類を救うことができるか?という永遠のテーマに思う。

火曜日, 1月 11, 2011

デイヴィッド・ベニオフ著「卵をめぐる祖父の戦争」を読んで。

1940年代第二次大戦中のヒトラー率いるドイツ軍のソ連侵攻、レニングラード(サンクトペルブルク)包囲線の中で、レフとコーリャの二人が織り成す「卵」探しの珍道中だ。戦火の中卵を探して進む二人の見た戦争とは、人として人間を否定し尽くし、残酷で無残な殺戮と飢餓と滑稽さしか持たないものだった。物語のプロットは、ミステリーとは言えない。戦争とはこういう悲惨さを思い知らせ、この状況中でも生き続ける人間の生を対局して描いた文学作品だと思う。戦争、友情、恋情と全てがセットされている。

木曜日, 1月 06, 2011

加藤廣著「信長の棺」下巻を読んで。

いよいよ、この巻で稀代の英傑織田信長の遺骸が発見されるかとページを繰りつつ。本能寺に近い阿弥陀寺から本能寺まで秘密のトンネルがあったという。信長、蘭丸他2名が光秀襲撃の後このトンネルに逃げ込んだが、秀吉の策略でトンネル内に壁が作られ、図らずも信長は阿弥陀寺に到達できないまま壁の前で命を失った。その遺骸を清玉上人が阿弥陀寺に引取、後日明智左馬助と相談し無縁墓地に幾多の死人の下深く埋葬し秀吉の執拗な遺骸の探索を振り切ったというくだりだ。

月曜日, 1月 03, 2011

加藤廣著「信長の棺」上巻を読んで。

2011年最初の一冊は、表題の作品である。今年の正月は、穏やかな天候にも恵まれ静かな正月である。さて著者の作品は始めてである。最近歴史ミステリーが、面白い。昨年読んだ写楽のミステリーは最高だ。今回本能寺の変にて明智光秀に奇襲を受け殺害された信長について、家臣である大田牛一なる主人公が、日々信長に使え度々記した日記を元に「信長記」書くにあたり、調査する中で信長の遺骸が見つかっていない謎に迫るという設定だ。光秀が乱を決起する前、公家の近衛前久(さきひさ)と茶屋四郎次郎邸にて頻繁に会っていて、前久が光秀に決起を促したとするくだりや桶狭間での今川軍を討伐した際の木下藤吉郎(後の秀吉)の働きについて、すでに家康との合意の下に行われたという説など面白い記述があり歴史の裏側に思いを馳せることができる。信長亡き後、九州征伐に西軍していた秀吉が、急遽駆けつけ光秀を討つくだりは、やはり事前に家康との裏取引があったという面白い説だ。時代は秀吉一色に染まってゆく。