月曜日, 6月 28, 2010

マイクル・コナリー著「天使と罪の街」上巻を読んで。

著者の作品は、初めてである。元FBI捜査官がなんと殺人鬼、その殺人鬼をやはり元ロス市警刑事ハリー・ボッシュが追う。物語は米国カリフォルニア、ネバダ州はラスベガス周辺での展開となる。ハリーは、通常おきまりの刑事ドラマのとおり、一人娘を残し妻と離婚し、今は私立探偵としての身の上だ。元FBI捜査官マッケイレブの死に疑問を抱く妻グラシエアから依頼を受けハリーの追跡が始まる。マッケイレブは、退職後も過去の連続未解決殺人事件について捜査を進めていた。残された彼の資料から、犯人は元FBI捜査官のバッカスではないかと・・・・。

土曜日, 6月 26, 2010

スコット・リンチ著「ロック・ラモーラの優雅なたくらみ」を読んで。

圧倒的なSFファンタジックな状況設定そしてコン・ゲームとして長編の著者処女作である。物語は、産業革命後のベネチアに似た空想城郭都市カモールここに父母を殺され孤児として生きるロック・ラモーラ、カモールの泥棒紳士団の団長として成長する。カモールを支配するドン、カパ・パルサビーとの対決、そしてバルサビィーからラーツアヘ親友を殺害され復習を誓うロック・ラモーラの希有な詐欺師と彼を取り巻く古城都市カモールの支配者達との対決は実に面白い。また空想城郭都市の設定はまさにSFの世界を堪能させる。

火曜日, 6月 15, 2010

シェイスピア著「ベニスの商人」を読んで。

この物語は、パサーニオとポーシャの二人を中心とする恋愛劇であるが、ここにユダヤ人の金貸しシャイロックを配し、キリスト教徒とユダヤ人の対立から友人アントニオを救う賢女ポーシャの美貌と機智。パサーニオとアントニオの友情、シャイロック、ポーシャと登場人物は、それぞれ個性があり劇場での役者のイメージが本を読んでいて湧いてくる。古典中の古典だ。

水曜日, 6月 09, 2010

スコット・マリアーニ著「消えた錬金術師」を読んで。

読んで数ページ過ぎ、この歴史ミステリードラマは多分映画化されるだろうと予測した巻末のあとがきにやはり、そう書いてあった。情景が、色彩が、物語のプロットの巧みさとともに読者をぐいぐいと渦中へと引っ張ってゆくそんな面白さがある。主人公ベンは、英国特殊部隊の隊員を経験し現在捜索屋を稼業とするそんな彼の元へフェアファックスと名乗る人物より孫のルースの病気を治すため、古来伝えられている錬金術を用いた不老不死の手稿を手に入れて欲しいと依頼を受ける。そしてフルカネリという錬金術師に辿り着くその手稿を回り、アクションありミステリーそしてラブロマンスありと冒頭でも言った映画化に最適な展開は実に面白い。2010年私のミステリー推薦NO1といったところだ。

金曜日, 6月 04, 2010

マイケル・シェイボン著「ユダヤ警官同盟」下巻を読んで。

グーグルアースで、アラスカ州を見たが、小説に出てくる島の地名が確認できた。が巻末の訳者後書きを読んで、架空の世界であることを知り驚いた。ユダヤ人専用の特別区のシトカとは正にSFの世界であると。そして以外にもシュピルマンを殺害した犯人は、ランツマンの警察同僚のベルコの伯父のヘルツであった。SFとミステリーが錯綜するこの物語は、何故か今一だった。「ミレニアム」や「犬の力」の方が数段面白い。

マイケル・シェイボン著「ユダヤ警官同盟」上巻を読んで。

出張で北海道札幌へ1週間滞在中に持って来た本を読んでしまったので、ジュンク堂書店に出掛けそこの店員さんに海外ミステリーで売れているベスト5を教えて欲しいというと親切にも挙げてくれたミステリーの中で、1位から4位までは既に読んでいた。そして第5位がこの書であった。物語の舞台は米国のアラスカ州のシトカ特別区を中心としてランツマン警部と同僚ベルコ、ランツマンは妻と離婚した後、安ホテルに住まい505号室で暮らし荒んだ生活をしている。そして、そのホテルの208号室でシュピルマンという青年が殺害された。殺害された青年は、当地区を支配するボスの息子で、救世主として神童と言われた男であった。捜査に当たるランツマンは、遂にボスのメンデル・シュピルマンの自宅へと向かった。