日曜日, 10月 25, 2009

エラリー・クイーン著「エジプト十字架の謎」を読んで。

概して、出張が頻繁にあると本が読める。移動体の中での読書となる。ミステリーは、移動中の読み物としては、最適だ。今回もエラリー・クイーンだ。書名は「エジプト十字架の謎」数ページ読み進むうちに早くも木柱に磔刑にされた首なし死体が登場する。ヨーロッパから米国への移民どおしの宿念を背景に次々と磔刑の被害者が出て、さすがのクイーンもお手上げ状態だ。家族と家族そして兄弟間の争いを通して、次々に起こる殺人事件、最後に以外な展開とまさにミステリーの古典に相応しいプロットだ。

土曜日, 10月 24, 2009

堀口敬著「原価管理」を読んで。

製造業の原価管理は、実に困難だ。この書は、どこまで原価管理をやるべきかを示している。製品1個につき、膨大な時間を費やし管理しても無駄だと。原価管理は、コスト管理と営業で実践に使用できるものでなければならないと、自分もそう思う。熔断業の原価管理を考える上で、この書に貴重な情報を得た。@PartsLinkシステムに原価管理オプションを是非加えたい。数十社の経営者と話をさせていただいているが、原価についての認識を持つ経営者は皆無に近いのもまた事実だ。

日曜日, 10月 18, 2009

アガサ・クリスティー「アクロイド殺し」を読んで

著者の数冊目に当たるミステリーだと。1926年作というから戦前のものである。最近古典的ミステリーを読んで思うのだが、少しも古さを感じさせないし寧ろ新鮮なプロット、トリックに驚かされる。今回の「アクロイド」という書名を不思議に思ったのだが、イギリスは片田舎の邸宅の主人の名前であった。語り手の医師ジェイムズによる物語の展開、殺されたアクロイドを取り巻く人物像の描写そして次第に各容疑者の過去が、名探偵ポアロの登場により、明らかにされる。遂に語り手である医師の犯行が。。アガサの中でも傑作といわれるこの著は発行後、トリックの是非について大いに話題となったそうである。

火曜日, 10月 13, 2009

ガストン・ルルー著「黄色い部屋の秘密」を読んで。

著作は、1907年刊行とある。まさに100年、世紀を超えて読み継がれたミステリーの名著に恥じない珠玉の出来だ。事件はパリ郊外の城の一角にある物理学の研究部屋である「黄色い部屋」で、著名な学者の娘が襲われることから始まる。この事件に若き新聞記者が派遣され、事件の謎を解明しようと懸命になって知人の弁護士と取り組む、そしてその件は少々冗長さを伴い読者を疲労させるが、後半は一気に読破せずに居られぬ状況にされる。現代のJ・ディーヴァーおも彷彿とさせるローラコースター的どんでん返しは、見事である。

木曜日, 10月 08, 2009

クレイグ・ライス著「時計は三時に止まる」を読んで。

著者の作品は、今回初めてである。1939年というから古い。ジェイクとディックそしてヘレンの3人が織りなすドタバタと殺人事件が同居するといったミステリーだ。用意周到なプロットは無い。殺人事件は、古い邸宅の一室で起こる。ディックの婚約者ホリーの家の伯母が殺される。そして時計という時計が全て午前三時を指して止まっている。このトリックをどうやって解き明かすかを興味を持って読んだが、結末は今となっては単純で面白みに欠ける筋書きだ。

月曜日, 10月 05, 2009

島田荘司著「斜め屋敷の殺人」を読んで。

北海道のある丘の上に立つ瀟洒なおイタリアピサの斜塔を思わせる館、この館はすべてが斜めになっている。この斜め屋敷で、年末のパーティに招待された客が次々に殺される。この密室の怪事件を解決するべき1人の占い師とも呼ばれる人物が派遣される。最後まで、この密室の謎が解けない。綾辻行人のまさに館シリーズ殺人事件とも相通ずるものがあるが、この斜め屋敷が、殺人の意図を持って周到に計画された点が違う。日本人作家としての館を題材にしたミステリーとしては、島田がより面白い。

中村八洋著「地政学の論理 拡大するハートランドと日本の戦略」を読んで。

懐かしいというか、1970年代後半倉前盛道の「悪の論理」を読んで以来30数年ぶりになる。読み始めて著者の巻末のプロフィールを確認するほど、右翼的過激な文章に辟易する。著者の根底にある論理は、マッキンダー及びスパイクマンの地政学のものだ。ロシアをハートランドとし、周辺の国家をリムランドと呼称しハートランドに対して如何に防衛するかを説く。50年も前の地政学の理論を持って、現状世界の戦力構造を分析し、政権交代に酔う日本に痛烈な批判と警告を発する。何故か現状と遊離している感は否めない。

アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」を読んで。

1930年代、つまり戦前のミステリーになる。過去裁かれることのなかった犯罪を殺人を犯した10人が、絶海孤島に集められる。その邸宅に集められた10人の犯罪が、LPプレイヤーから流される。そして殺人劇が幕を開け、次々と殺される。10人の心の葛藤や互いのプロフィールが、徐々に明かされ、そしてまさに、誰もいなくなった。古典的ミステリーとして出色の出来だ。読者を一気に最終章に引き込む魅力を備え、古典としてこれからも引き付けてやまないだろう。