水曜日, 3月 26, 2008

堤 未果「ルポ貧困大国アメリカ」を読んで。

現在のアメリカの貧困ドキュメントとでも言った内容であるが、正に圧倒される内容である。TVのニュースなどメディアで意識したアメリカ像がこの本ではっきりとした。教育、医療から戦争まで、貧困を原因とするアメリカ社会の現実が見える。「新自由主義政策」の名の元に、全て民営化しその弊害が蔓延し果ては新たな貧困層を生むスパイラル状況である。大学を奨学金にて入学し卒業と同時に請求書が届く、このローンを払い続け、一端退職したら自己破産だ。金を欲しさに、軍隊に入隊し戦争へと黒人、マイノリティー、ヒスパニック系人にとって、戦争へ行って借金を払う。そしてさらに厳しい状況はイラクの戦争へ行くこうした人たちが、実は派遣労働者でもあるという。チェイニー副大統領が以前いた派遣大手の会社から下請け、孫請けさらにという具合にして、派遣会社が9.11以降個人情報の流出を利用し勧誘する。丸6年にも及びイラク戦争でアメリカ人の死者は4000人を超えていると報道されているが、こうした派遣労働者の現地での死者は数にはいっていないという。膨大な戦費の肩代わりに、最低限必要な公共サービスまでもが、民営化されていく成れの果ての現実を思い切り見せ付けられた印象である。(評価★★★★★)

火曜日, 3月 25, 2008

岡田斗志夫「いつまでもデブと思うなよ」を読んで。

出張の行き帰りに列車の中で読むのには、新書版が便利である。ダイエット本の一種である。それもれコーディイング・ダイエットと呼ばれるものである。朝、昼、晩と自分の一日食べた食事の内容を詳細に書き留め、さらに体重を毎日量って記録してゆくというものである。100kg超の体重の超デブなら、この当たりの甘いダイエットでも数ヶ月で10kgは痩せるかもしれないが、通常10kgオーバー位の中途半端なデブにとっては、中々時間がかかると思う。というのが率直な感想だ。ある程度までくると、つまり中途半端なデブは食事カロリー制限をやはりしなくてはならない。というのが結論だ。

水曜日, 3月 12, 2008

森永卓郎「年収崩壊」を読んで。

前小泉総理の下、規制緩和が齎したものは格差拡大と米国型弱肉強食の社会の実現だった。その総理は、参院の答弁で「格差は悪いとは思わない・・」とまで言った。この格差は様々な社会現象の根源的な部分になって来ている。と著者は言う。大量の貧困層年収200万円以下を生み、結婚できない症候群、学校の成績の格差と枚挙に暇が無い。後半では、人間の人生の幸せについて、それぞれの立場でそれぞれの悩みがある。西欧型のゆっくりとした時間の流れを楽しむ生き方も幸せではないか。と。世の中の既に3分の1以上が非正規雇用で、ネットカフェ族やニートといった社会不適合つまり経済難民が増加しつつある。既に年収は崩壊している。少子高齢化による年金崩壊とこの国は一体どこへ行こうとしているのだろうか。

水曜日, 3月 05, 2008

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

著者自身の5数十日に及び監禁独房生活の貴重な体験を通して、国家権力と戦った軌跡が主題である。この本を読み終えて思うことは、国家が犯罪と決めターゲットとした人物は何があろうと、例え無実な罪であろうと検察という仲介役をして必ず罪を科す。その詳細が、著者と検察官の尋問のやりとりの中で明確になってゆく。鈴木宗男議員の人柄と献身的な外交努力をこの本で、知った。情報分析官のプロとして活躍していた外務省役人が突然ある日、国家の罠にはまって行くプロセスは東西古今政治体制を超えて恐怖という二文字に尽きる。多分、ひょっとしてホリエモンもそうかも知れないと思う。