水曜日, 2月 06, 2008

エンリケ・バリオス「アミ3度目の約束」を読んで。

著者はスペイン人で以前画家だったというだけあって、その類稀な空想・想像力は素晴らしい。アミが乗るUFO円盤で宇宙を旅しながら、地球人ペドリートと地球外生命体のビンカとの愛を見守り、様々な星への旅を通してその星で生活する人々との交流を持つ。広大な宇宙は即神であり、また愛である。利己主義、嘘、物欲、破壊等人間はその人の心に正直に会話ができない。アミを通して著者は、神と愛という普遍なテーマと個の心を説く。大人が読む童話だ。

片桐正「利益を確実にアップさせる!在庫管理」を読んで。

棚卸しを何故行うかなど素朴な疑問を平易に全般的に解説した入門書といったところである。後半のIT活用ではSCMなど様々な手法を解説している。棚卸しとB/SとP/Lの会計財務諸表との関連や売上原価との影響さらには、商品の原価の算出方法など、かなり参考になる部分が多い、絶好の入門書といったところだ。

日曜日, 2月 03, 2008

佐藤優「国家の自縛」を読んで。

作者は外務官僚として対ロシア外交に深くかかわり鈴木宗男衆議院議員とも交友が会った特異な経歴を持つ人物である。読後、外交官としての「眼」を意識する。外交官としてロシア外交、東南アジア、EU、中東、アフリカと日本と対峙し展開する論理、その究極と指定意味するものは「日本の国益」あるいは筆者は「国体」とも言うところのものである。諸外国と渡り合う外交官としての能力の中で、嘘をついてはいけないことは勿論だが、如何にその人が自分の国益を考え人脈を作り対峙してゆくかが問われると説く。そして外務官僚のあるいは日本の教育まで遡る、旧日本陸軍中野学校で採用されたとする北畠親房の「親皇正統記」や「太平記」を教科書とすべきだという。

コーディ・マクファディン「傷痕」を読んで。

米国新進気鋭作家の最新作「傷痕」は、米FBI特別捜査官スモーキー・バレットを主人公とする刑事物の犯罪サスペンスである。主人公の過去から始まる物語は上巻で、その悲劇夫と娘を惨殺されしかも自分はレイプされ額に傷を残すといった重苦しい過去を踏み台に新たな類似した残虐な犯罪に臨む下巻とに分かれている。実は私は上巻を読んでいる途中で既に犯人がわかってしまった。物語の伏線は容易に犯人を特定想像させるものである。犯罪は、害虫駆除業者として堂々と玄関から押入り女性をベッドの支柱に縛りつけ切り裂きレイプし内臓を抉り出すといった残忍さにもかかわらずスモーキーの言動はあるいはFBIの犯罪捜査チームの面々の人生までも描写しその結束力と友情は一服の清涼剤のように読後に不快感は残らない。ジェフリー・ディーヴァーのように最後の最後まで犯人が誰かと科学的に追い詰めて行く面白さとは違い従来の犯罪サスペンスに分類される組み立てながら新しいと感ずる何かをこの作者は描き才能を持っている。