月曜日, 4月 30, 2007

新宝島 江戸川乱歩全集 第14巻を読んで。

昭和18年といえば、世界大戦へと突き進む日本の姿がある。言論弾圧、思想統制の中で乱歩の探偵小説は迫害を受ける。戦意高揚を主題とした子供雑誌に連載される冒険物語はもはや乱歩の世界ではない。この巻に収められている話の中では、偉大なる夢が出色の出来だと思う。戦時下の中で、上記の困難な状況で書かれた探偵小説は現在15巻読後でも私の中では1、2を争う出来映えだと思う。シドニー・シェルダンを思わせる謎解きはこの時期としは冒険的でかつ乱歩の探偵小説への強い意志を感じる。

世界の日本人ジョーク集 を読んで。

京都へ出張のおり、東京駅の本屋で買い求めた新書版である。著者が、東欧のルーマニアに在住2年の経験から、東欧での日本人の評価とは?が書かれているのは興味深い。日本人の評価は戦後高度経済成長あるいはバブル期のまま停滞している。カメラ、眼鏡、ドブネズミ色のワークウェア、仕事、オーバーワーク、過労死と日本人を形容する代表的な言葉だ。護送船団方式に代表される仕事は、古代から狩猟でなく農耕水稲栽培民族としての「村」の意識が日本人の意識形成に多いに関係しているという。

木曜日, 4月 26, 2007

クリスマス・プレゼント を読んで。

ジェフリー・ディーヴァーの短編集だ。全部で16編が収められている。長編小説のような圧倒する迫力とどんでん返しはないが、短編でありながら印象に残る作品が多い、「三角関係」「ひざまずく兵士」それとこの短編集の為に書いたリンカーン・ライム&アメリア・サックス物。短編小説のエッセンスというかそんなものをこの本から感ずるのは私だけであろうか。

火曜日, 4月 17, 2007

地獄の道化師 江戸川乱歩全集第13巻 を読んで。

中編4編、暗黒星、地獄の道化師、幽鬼の塔、大金塊が編集されている第13巻は、昭和14年に書かれて各種雑誌に連載されたものであるという。この1939年は、軍部が主導権を握り着々と太平洋戦争へと突き進む日本の姿がある。思想統制下にあって、乱歩の娯楽探偵小説も発禁本あるいは訂正を強要されるといった状況である。殺人事件の描写など今一恐怖感を呼び起こさない。乱歩は徐々に休筆宣言へと。。乱歩と戦争への係わり方はどのようなものだったのであろうかと考える。それにしても、明智小五郎、小林少年探偵団長の活躍は、我が少年時代に胸を躍らせ読んだ記憶を呼び起こし、懐かしさで一杯になる。

日曜日, 4月 15, 2007

あなたに不利な証拠として を読んで。

R・ドラモンドのこの小説は、2回目となった。読み進めていく中で、「サラ」の章でどうも以前読んだ覚えがあると思い、本棚を探したところやはりあった。作者は、女性制服警官の経験があるという。この本での事件に立ち向かう警察官そして生々しい犯罪現場の状況、死と生がいとも簡単にその境界を越えていく。人間の生とは何か?尊厳とは神とは何かと思わず問わずにいられない状況を作り出している。現実ともミステリー小説の中とも解らない状況だ。この本に人間の生と死が、紙一重で折り重なっている。

火曜日, 4月 10, 2007

Mizuno JPXチタン アイアンを買った。

先日、Yahooオークションにてミズノ「JPXE310Ti」を落札チタンフェースにNS950HTのSRの組み合わせ56000円也、早速鳥かご「練習場」にて、試打する。5Iでロフト角23度は、強烈なストロングロフトだ。同社のMPシリーズが、26度であるから約一番手違う。しかし球筋は、強く高い、ストロングロフトにも拘わらず最近の複合コンパジットアイアンは低重心で玉があがるという。やはりゴルフ道具の進化を感ずる。まだ現場「実践」で使用していないが、楽しみだ。前の2002年のダンロップXXIOと較べても1番手違う。芯を喰うと、5Iで185Y、4Iで195Y位は行く。実に頼もしい限りだ。そして最近になって、「わかった」つまりスウィングの。以前は、つま先体重にてアライメントをしていたが、少しかかと体重を意識してバックスウィングをしてみたらこれが、ナイスショットに繋がった。前2回のラウンドでは、77、80と上々の結果が出ている。14日の現場が楽しみだ。

エンプティー・チェア を読んで。

ジェフリー・ディーヴァーの「エンプティー・チェア」を読んで、私は彼の最高傑作だと思う。お馴染みのリンカーン・ライム&アメリア・サックスのコンビのジェットコースターミステリーだ。兎に角最後の最後まで読者を夢中にさせる緊迫感と一気に読破させる力をこの本は持っている。ノースカロライナのパケノーク郡の小さな町で起こる殺人誘拐事件にライムとサックス介護士のトムが、ライムの手術の為に大学病院を訪れる。いつものセントラルパークにあるライムの部屋の分析機器がここには無い。緊急に調達した古い機器での解析が始まる。犯人を追い詰める中相棒のサックスが、同僚を銃殺してしまう。事件は意外な展開へと進み、警察内部の所長ベルと実業家との癒着そしてこの小さな町全体が、農薬に使う毒薬によって汚染sれていることが判明する。町には子供がいない。このミステリーの周到な展開は正に圧巻というべきもので拍手を送りたい。

日曜日, 4月 08, 2007

ソルトマーシュの殺人 を読んで。

先日本屋で手に取った、世界探偵小説全集の中の1冊グラディス・ミッチェルの「ソルトマーシュの殺人」である。題名のソルトマーシュとは、イギリスの片田舎の村の名前である。ブラッドリー婆さんは心理学者でもある探偵である。村の祭りの情景がこと細かく描写され前半は、ミステリーとはかけ離れた「怠い」という感じだ。そのうち知らないうちに殺人事件があったと聞かされるというように、事件に入っていく語り手の僕は、協会の副牧師である。その語り手と婆さん探偵が殺人事件を追いつめる。何故かインパクトが無い。J・ディーヴァーのジェットコースター的展開とは全く違った、また愛読する乱歩の物とも違う。最後まで読者は、犯人を特定できない。この手法はまた独特だ。物語の山場を山として描写せず、すらっと流す。1920年代の作品でG・ミッチェルの作品は暫く日本で翻訳されることが無かったという。

水曜日, 4月 04, 2007

シャーロックホームズの生還 を読んで。

コナンドイルの「シャーロックホームズの生還」を読んだ。頭脳明晰にして、次々と難事件を解決してゆく彼の論理的で冷淡な個性そして霧の都ロンドンとのマッチングは、数年前ロンドンを訪れその印象とともに私の想像を刺激する。しかし、何故か彼ホームズの孤独な背中が見える。友人ワトソン博士が心配するように、退屈な時間はホームズを阿片・麻薬へと誘う。つまり彼は難事件がなければ生きていけない宿命を持った男なのである。

火曜日, 4月 03, 2007

緑衣の鬼 江戸川乱歩全集第11巻を読んで。

「緑衣の鬼」そして「幽霊塔」も黒岩涙香氏の海外探偵小説の翻訳物を乱歩が、そのワールドで書いた物だという。実に面白く、一気火勢に読むことを強いる魅力を持った2編である。昭和10年頃の作だと言うが、この時代にもこんなに面白い読み物があったとは、考えられないくらいだ。まさにRanpo Worldだ。