水曜日, 3月 28, 2007

ゴルフの神様 を読んで

夏坂健氏の「ゴルフの神様」を読んだ。氏の類い希なる珠玉のエッセーが、イギリスやスコットランドを俳諧しならが、見て感じて書いたというものである。ゴルフ本来の意味がわかる。まず自然があってコースができて、人間がいる。ゴルフのルールでいう「あるがまま」の意味は誠に深い。趣味としてのゴルフ、接待ゴルフ、競技ゴルフと色々あるが、人生と自然とゴルフを理解する人こそ幸福だと思わずにはいられない。そして「あるがまま」と静謐という精神を。。

月曜日, 3月 26, 2007

死の開幕 を読んで。

J・ディーヴァーの最新作と思いきや、初期の作品であった。出張の日、東京駅の京葉線乗り場へ向かう途中の本屋で見つけた。後半の展開は、リンカーン・ライム&アメリア・サックスシリーズを彷彿とさせる例のジェットコースター的だ。主人公のルーンを中心に回る殺人事件だ。ポルノ映画館が、犯人によって爆破されシェリー・ローというポルノ女優が殺される。ルーンはその経緯をドキュメンタリー映画にしようとカメラを手に聞き込みを開始する。前半はかなり、「だるい」展開だ。市警の爆発物処理班刑事、サム・ヒーリーと出会う。ルーン&ヒーリーで殺人犯を追う。後半は、2転、3転と急速な転回が、二人を待つ。J・ディーヴァーの創造するルーンは、サックスへと繋がっていく何かを持っているが、どこか違う。

火曜日, 3月 20, 2007

制服捜査 を読んで。

佐々木嬢著「制服捜査」を読んだ。実は、NHKのBS番組「週間ブックレビュー」の特集で作者が出演し面白そうなので、手に取った。結果は、今一であった。面白くない。J・ディーヴァーや乱歩と比較して全く読者を楽しませる展開が無い。北海道の田舎の一駐在所のお巡りさんつまり制服巡査の事件とも言えない事件を追った物語である。ある日、夏祭りの夜、少女が誘拐される。地元の名士の教育長の教員当時教え子に生ませた息子が犯人だと。。所謂物語の中心がこれである。何ともなさけなく、読むのに疲れた。

月曜日, 3月 19, 2007

魔術師 江戸川乱歩全集第6巻 を読んで。

昭和初期の新聞零細の長編小説2編が、この巻の内容だ。極悪殺人犯人と素人探偵明智小五郎との対決が、その中心だ。2作品とも圧倒的な面白さであっという間に読了してしまう魅力を持っている。乱歩の絶頂期の作品ではないか。と思われる。明智の妻、文代との出会いから結婚に至るプロセスが判る。シャーロックホームズが女嫌いだったのに比し、乱歩の創出した明智小五郎は、結婚する。また少年探偵団率いる小林少年も助手として登場する。乱歩のミステリーの面白さを端的に表現されている作品だと思う。

金曜日, 3月 16, 2007

「緋色の研究」新訳シャーロックホームズ全集 を読んで

1886年、ドイルがホームズ・ワトソンの探偵物を書いた最初の作品であるという。ワトソンとホームズとの出会いが、この作品でわかる。1886年といえば、明治18年この時代の探偵物を今読んでも面白いとう意味は、何なのだろうか。ドイルが創出したホームズという人物像そして希有な相方ワトソンとの絶妙なコンビネーションで事件を解決してゆく展開なのだろうか。あるいは、ホームズの事件に対する深い知識と洞察力は、現在ミステリーに引き継がれていると思う。

木曜日, 3月 15, 2007

「陰獣」江戸川乱歩全集 第3巻を読んで。

「陰獣」は、乱歩の傑作といわれる作品であるという。昭和初期の作品にあって、一転、二転三転というどんでんがえし的作風は、現代のミステリー作家であるJ・ディーヴァーを彷彿とさせる。ジェットコースター的展開とまではいかないが、かなり面白い。最終結末が、明確でないという当時の批判はあったということだが、かえって読者の想像を掻き立てるに十分である。また最後編に綴られている「芋虫」もなかなか迫力がある戦傷者を題材にしているため、当時イデオロギー的作品として左翼に歓迎されたと述懐している乱歩であるが、人間の本能としての「善」と「悪」を短編の中に凝縮しさらに印象付けに成功している希有な作品だと思う。