IT社長の徒然日記
創業以来30数年、読書を通して思うことを日記として記していきたいと、思いました。オーディオ、ジャズ、ゴルフ、海外旅行、酒その他諸々について。
水曜日, 2月 28, 2024
笹沢佐保著「断崖の愛人」、
大手の部類に入る中外軽金属の会社の係長を務める井ノ口一也は家庭での嫁姑間の対立に日々悩まされていた、彼の妻純子は策略を施し夫に愛人を持たせるべく画策した、何故か姑の春江が愛人という状況に毛嫌いしているのを知っているのが原因だった。彼の勤務する部署で部下の安城由布子との不倫間関係に遂に井ノ口は陥った。ある日春江は息子の一也に愛人がいることにきずき愛人由布子の住まうマンションに出かけ由布子と春江は対決した、結果春江はマンションの屋上から転落し死亡した。さらに沖縄へ出張した一也を追って来た由布子との逃避行の近くの岬の断崖から探偵が身を投げ死亡と家庭の不和から始まる件が殺人までに発展したミステリーのプロットとしては単純で結果もそれほど驚くべき結末とはいえないが、ここに至る道程、男女の心理の描写はさすがである。
笹沢佐保著「遅すぎた雨の火曜日」、
東京都下の四階建ての小田切病院の長男哲也を誘拐しようとした女、名前は花村理恵彼女の暗い過去は小田切病院の院長夫妻と強く結びついていた。病院を見渡せるマンションに越して来た理恵は哲也の誘拐に成功する。電話での脅迫を繰り返したが一向に効果はなくしまも誘拐した哲也に縛っていたテープを解かれ逆に理恵が囚われそうな状況になった、理恵とのセックスを通して仲良くなり二人で北軽井沢の別荘に居を移して二人の愛情を確かめ合った。そして二人の復讐への決意が徐々に固まっていった、運命とでもいえる邂逅を通して赤裸々に綴る愛情表現は著者の描写力を遺憾なく発揮する、ミステリーとしてのプロットはやや弱いもののこれはこれで満足である。
火曜日, 1月 30, 2024
笹沢佐保著「不倫岬」、吉祥寺署捜査一課部補である向坊長一郎は大富豪のサラ金女社長黒柳千秋の殺害現場に立ち会い捜査に乗り出すが、向坊は捜査本部の指針と違う結論を出し独自に捜査を進めることになった、容疑者は死亡した社長の秘書小田切丈二だった。小田切は向坊が妻由紀子と結婚する前の恋人であり、由紀子の体を不妊に貶めた男であった。事件は錯綜して次々と死体となって見つかる異常な状況、しかし向坊の意思は変わらず小田切の飽くなき追及であった。プロットの組み立てさらに複雑な伏線そしてロマンと人生下敷きにした本格ミステリーそして結末は意外な事実を告げる、読者が楽しく読める工夫が何か所にも隠されて最後のぺーじを繰らせる。
笹沢佐保著「逃亡岬」、薬品大手の会社に勤務する九門愛一郎は、銀座のホステスのミサと不倫関係にあった、既に妻とは断絶し彼女は勝手に愛人と仲良くしていた。ミサと別れ話を持ち出し関係は最悪な状況になりアパートを出た、そして間もなくミサは刺殺されたことを知る。そして九門に嫌疑がかかり四苦八苦する中でマンション近く富豪の娘千秋と知り合い一緒に逃亡することになる。ミサのマンションを出て間もなく一人の女性と会話を交わしている途中窓からミサがリンゴを階下に投げた、このことが殺人容疑となった九門を救う方法、つまり名前も判らない女性を探すべく千秋と一緒のアリバイ探しをして何か所も地方を訪れた、遂に彼女の正体がわかるが死体となって佐渡島で発見された。著者の人物描写はに細微に入り入念に描く技術は松本清張を彷彿とさせる、しかし最後の落ちは今一迫力にかける。
金曜日, 12月 29, 2023
水曜日, 11月 29, 2023
藤崎翔著「逆転美人」、小さい頃から可愛いと皆に言われた少女は大人になって益々美人となり、小学生中学生高校生といわず陰湿な虐めを受けた優子は居たたまれなくなり高校を中退しキャバクラへそこで知り合った不動産屋の男と遂に結婚し一児を設けた。そして二人は保険金殺人を共謀して彼女の祖父そして前夫の子供香織に重症を負わせ歩行困難にそんな折彼女の勉強を見てくれている教師に共謀殺人を感ずかれ教師も殺害と殺人を重ねた。その後美人故辛酸を舐めた優子の反省を手記という形で出版しないかと持ち掛けられ承諾した、前半はこんな推移で物語は進行し後半は実際に手記を書いたのは香織であるという事実を明白にし香織の殺人への暴露が始まる。この特異な形態のミステリーには唖然とするしかない。実に面白い。
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